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「小中学校での投げすぎ」「ダメなのはスライダー」トミー・ジョン執刀医に聞く“ヒジを壊す元凶”
posted2020/09/30 18:30
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
AFLO
西野勇士(ロッテ)、東克樹(DeNA)、田島慎二(中日)、堀田賢慎(巨人)、石川直也(日本ハム)、戸田隆也(広島)、近藤大亮(オリックス)、森雄大(楽天)、そして種市篤暉(ロッテ)――。今年、肘の靭帯に断裂を起こし、再建するトミー・ジョン手術を受けた現役のプロ野球選手は9人にのぼる。ルーキーの堀田を除けば、1軍ローテーションや勝利の方程式の一角を務めたことのある投手ばかりだ。
前編でお伝えしたトミー・ジョン手術への理解が広まった結果であるが、一方、この手術に至る怪我が増えていることを歓迎していいと言う訳ではない。手術をすれば怪我が治ると言うだけのものであって、一番いいのは手術にいたる選手が少なくなることだ。
事前に立てた“4つの仮説”
では、肘の靭帯損傷の要因には、どんな要素が考えられるのか。
筆者が事前に立てた仮説をもとに、トミー・ジョン手術の執刀医である慶友整形外科病院の古島弘三医師に尋ねてみた。その答えは、昨今のアマチュア野球界の環境から予想できたことももちろんあったが、意外と盲点になっている練習方法なども隠されており、耳を傾けるべきかもしれないと思った。
事前に立てた仮説はこちらだ。
・小・中学校時代からの登板過多
・甲子園を巡る野球界全体の風潮(練習など)
・投球フォーム
・球速、フォークなどの球種
「怪我したことを放置している選手がいる」
古島医師にいの一番に肯定されたのは「小・中学校時代の投げすぎ」だ。肘の靭帯損傷などは、過去の傷が大怪我につながっているケースがほとんどだ。
古島医師はいう。