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フィリピン大学No.1バスケ選手があえて日本の“地方チーム”を選んだ理由…Bリーグ「アジア特別枠」とは
text by
青木崇Takashi Aoki
photograph byTristan Tamayo
posted2020/09/27 17:00
来日に備えてフィリピンでワークアウトに励むラベナ。フィリピンのインカレにあたるUAAP選手権で3年連続MVPに輝いた大学No.1プレーヤーだ
発売中のBリーグ公式ガイドブックでのインタビューの際に、ラベナは「好き嫌いに関係なく、バスケットボールと常に接する環境の中にいた」と話しているが、一方で、子どものころ最初に始めたスポーツは野球だった。太陽の下で長時間プレーできないという理由から、屋内スポーツのバスケットボールに転向したものの、「フットワークがないと言われてチームからカットされたので、その後は1年間バドミントンをやっていたんだ」と振り返る。
しかし、その翌年のトライアウトに合格してメンバー入りを果たしたことで、ラベナはフィリピンだけでなくアジア全体で注目される選手へと成長していく。父や兄のプレーを見ながら基本スキルを向上させ、徐々にオールラウンドな能力を身につけたことは、バスケットボールに対して真摯な姿勢で取り組むことを継続してきた成果。また、幼少時に複数のスポーツをこなしたことが、高い身体能力を生み出す源になった。
父から学んだことで最高だと思えることは何か? と質問すると、「バスケットボールのことよりも精神的なところだ。ベストになりたければすごく努力しなければならないし、自分はそうしてきたと思っている。父は常にそういったメッセージを伝えてくれた。いい試合じゃなかったとしてもね。試合前には『常に一生懸命に取り組むこと』といつも言われていた」と返答する。
なぜ日本の“地方チーム”を選んだのか
ラベナは『Something different』、何か違った道のりを歩みたいという思いを持っていた。フィリピンの大学生がPBAでプロになるために必要なドラフトにエントリーしない意思を固めて海外でのプレーを希望し始めると、日本、オーストラリア、ニュージーランド、イタリアのチームが獲得に興味を示す中、家族と相談したうえでBリーグの三遠ネオフェニックスと契約する決断を下したのである。
昨季まさかの低迷に陥り、B1最低成績に終わった三遠にとっては、ラベナが違いをもたらす起爆剤になることが期待される。ラベナ自身は個人が目立つことよりも、チームの勝利に貢献したいという気持が非常に強い。
「数字や個人の目標を言うつもりはない。チームがチャンピオンシップに進出できるように貢献したいんだ。昨シーズンよくなかったから、実現するためになんでもしなければならない。三遠は勝利に貪欲な組織であり、その答えを探しているところ。僕たちは全力で戦うしかないんだ」