欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
堂安律「違いを生み出せる選手に僕はなりたい」志高きビーレフェルトの起爆剤となれ
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2020/09/26 11:40
フランクフルト相手に1-1のドローで1部開幕戦を乗り切ったビーレフェルト。堂安律は異色のチームでどんな結果を残せるか
「自分たちのスタイルに『誠実』でいる」
28歳でホッフェンハイムの監督に就任したユリアン・ナーゲルスマンを筆頭に、30代の若い監督がゴロゴロいるドイツサッカー界において、ビーレフェルトの指揮官は異色の存在だ。60歳にして自身初めてとなる1部の舞台に挑むのが、ウーベ・ノイハウスである。
彼はこう話している。
「大切なのは、1つだけだ。我々が、自分たちのスタイルに『誠実』でいること。我々のプレースタイルは継続する。ブンデスリーガ1部の舞台でも、我々が攻撃をする結果として、長くボールを持っている状態にしたい」
その象徴が、GKのシュテファン・オルテガだ。彼はキャプテンからこんな風に評されている。
「素晴らしいGKであるだけではない。僕らにとっての11人目のフィールドプレーヤーなんだ」
「11人目のフィールドプレーヤー」というのはありふれた表現のように感じるが、オルテガの存在の大きさは、11人のうちの1人を超えるものだ。
昨シーズン2部におけるボールタッチ数は全体で4位(チームトップ)、パス成功数も5位(チーム内では2位)を記録している。
もちろんこれはGKだけのランキングではなく“全選手”の中でのものだ。
1試合平均76回のタッチ数、平均67本のパス数
なお、彼が記録した1試合平均76回のタッチ数も、平均67本のパス数も、ブンデスリーガ1部のGKと比較してみると……マヌエル・ノイアーを含む全てのGKを上回るものだった。
ボールを支配するのではなく、ゴールを意図してパスをつなぐ。そのために、きちんとキーパーから攻撃を組み立てていく結果が、驚異的なデータとなって表われた。
ノイハウス監督は昨シーズン2部で優勝した直後から、自身初挑戦となる1部での戦いを前に宣言していた。
「パスをつないでいくプレーはサッカーにおいて、とても大切なものだ。だから、この『勇敢なスタイル』をさらに推し進めていく。このプレースタイルによって手にした自信を、1部の舞台でも示していきたい」
この「勇敢なスタイル」というのがポイントだ。Mr.Childrenのヒット曲「シーソーゲーム」のサブタイトルには「勇敢な恋の歌」とあったが、「勇敢さ」と「無謀さ」はシーソーのような関係だ。片方に比重が傾けばバランスは崩れる。
彼らの野心は、1部の舞台でも通用するのだろうか。