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藤沢調教師は競馬界を変えてきた。
キーンランドCとエポワスに思う。 

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平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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photograph bySatoshi Hiramatsu

posted2020/08/28 19:00

藤沢調教師は競馬界を変えてきた。キーンランドCとエポワスに思う。<Number Web> photograph by Satoshi Hiramatsu

2017年のキーンランドCを勝ったエポワス。藤沢調教師が競馬界に起こした革命を思わせる勝利だった。

距離適性を考えて成し遂げたこと。

 例えばシンコウラブリイ。1993年にマイルチャンピオンシップ(GI)を勝利し、厩舎に初めてGIのタイトルをもたらした彼女にはデビュー以来一貫して1600メートル前後の距離を走らせ続けた。今でいう3歳の秋の時点で、同期のほとんどがエリザベス女王杯(GI、秋華賞創設前で、3歳牝馬の秋の大目標は当時、3歳限定の2400メートル戦のこのレースだった)へ向かう中、藤沢調教師はシンコウラブリイの距離適性を重視してマイルチャンピオンシップに挑戦させた。結果は2着に敗れたが、その後もマイル前後を走らせ続けた結果、翌93年にマイルチャンピオンシップを優勝したのである。

 また、バブルガムフェローの活躍も藤沢調教師ならではと思えた。95年に朝日杯3歳S(現在の朝日杯フューチュリティS、GI)を優勝したバブルガムフェローを、その直後から「来年の秋は菊花賞へは向かわず天皇賞に挑戦させる」と明言。実際、その通りの使い方をして3歳で天皇賞(秋)(GI)を制覇させた。3歳馬同士の3000メートルの菊花賞よりも、古馬混合でも2000メートルの天皇賞を選択したのは、当然、バブルガムフェローの距離適性を考えての事だった。

C・ルメール「さすが藤沢先生」

 冒頭で紹介したエポワスは、シンコウラブリイやバブルガムフェローのようにGIを勝った馬ではないが、伯楽が徹底してスプリント路線を走らせ続けた事が、キーンランドC制覇につながったのは言うまでもない。ちなみに前走比20キロ増で重賞を勝ったパートナーについて、手綱を取ったC・ルメール騎手はレース直後、笑いながら次のように語っている。

「さすが藤沢先生。9歳馬をまだ成長させてみせた」

 さて“選択と集中”という使い方が当たり前になった現在はスプリント戦にはスピード自慢のランナー達が揃うようになった。今年のキーンランドCではどんな快速馬達の戦いが見られるだろうか。刮目したい。

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