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競馬を変えたノーザンファーム天栄。
休み明けをプラスにする最強の外厩。
posted2019/05/22 11:30
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Kiichi Matsumoto
「天栄ホース」という言葉が、昨年の秋ごろから、一部の競馬ジャーナリストの間で使われるようになっている。
そう、レースとレースの合間の調整を、福島の「ノーザンファーム天栄」で行っている馬たちのことである。昨年、アーモンドアイやブラストワンピースなど、間隔をあけながら使われる馬が大舞台で立てつづけに結果を出し、注目されるようになった。
ノーザンファームの生産馬は、今年3月31日の大阪杯から先週のオークスまで、JRA平地GI7連勝という、とてつもない強さを見せている。そのうち、年明け初戦となった桜花賞を中15週という最長間隔優勝記録で制したグランアレグリア、3カ月半ぶりの実戦となった天皇賞・春を勝ったフィエールマン、中8週のヴィクトリアマイルを制したノームコアが「天栄ホース」である。
もっと言うと、天皇賞・春2着のグローリーヴェイズと、ヴィクトリアマイル2着のプリモシーンも、そうだ。
「魔法の施設」のように見えてくる。
かつては、休み明けは当然割引で、叩き2戦目や3戦目が狙い目、というのが「競馬の常識」だった。が、今は逆に、ノーザンファーム天栄に放牧に出てからぶっつけで走るほうが好結果を出す、という印象さえある。
今使った「ぶっつけ」という表現も、これまではマイナスの意味合いで用いられていたのだが、「天栄ホース」の躍進により、そのニュアンスが変わりつつある。
何やら「魔法の施設」のようにも見えてくるノーザンファーム天栄がメディアに頻出するようになったのと同時に、場長をつとめる木實谷雄太氏も、テレビの競馬番組にゲスト出演するなど「時の人」になっている。
ノーザンファーム天栄とはどんな施設なのか。好奇心に駆られ、現地を訪ねた。