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藤沢調教師は競馬界を変えてきた。
キーンランドCとエポワスに思う。
posted2020/08/28 19:00
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Satoshi Hiramatsu
今週末のJRAの重賞は2つ。新潟競馬場で行われる新潟2歳S(GIII)と札幌競馬場のキーンランドC(GIII)だ。
3年前のキーンランドCを勝ったのがエポワス。美浦・藤沢和雄調教師が管理する当時9歳のセン馬だった。
この時のエポワスは13頭立てでブービー12番人気という低評価。3週間前に札幌競馬場の芝1200メートルという全く同じ舞台のUHB賞(オープン特別)を走っており、そこで11頭立ての7着。重賞になるここで更に人気を落とすのも頷けた。
C・ルメール騎手を背にスタートを決めたエポワスだが、その後向こう正面では最後方まで下げて競馬を進めた。3コーナー過ぎで馬混みを割りながら徐々に進出。とはいえラスト200メートルでもまだ先頭とは差があり、苦しいかと思われた。しかしそこから末脚を炸裂。馬群の中をただ1頭伸びてゴールではきっちり差し切ってみせた。
「馬が救ってくれたという感じ」
こうして自身初の重賞制覇を決めたエポワスだが、人気がなかった理由と思われることがもう1つあった。先述した通り3週間前にはレースに出ていた同馬だが、このキーンランドCでの馬体重は前走比プラス20キロの496キロ。僅か3週間での大幅な馬体増に「滞在競馬で絞り切れなかったのでは?」との声が上がったのだ。レース後、この点を問われた藤沢調教師は「増えていましたね」と笑いながら言った後、次のように答えている。
「体重に関しては厩舎でも『おや?』という感じです。前走時が減っていた(その前から8キロ減)ので戻しているとは思ったけど、何か特別なことをしたわけではないのでここまで増えているとは思いませんでした。負けていたら仕上げ切れなかったと言われちゃうところ。馬が救ってくれたという感じですね」