チケット自体が買いづらい状況に。

　各クラブが観客動員に苦戦するのは、いくつかの理由が考えられる。

　現在の「超厳戒態勢時」では、チケットが買いにくい。

　湘南だと新たなチケットの販売は試合の1週間前程度からで、直近の1試合分しか売り出されない。早めに買うことも、複数の試合をまとめて買うこともできないのだ。

　感染予防対策として購入者を特定するため、Jリーグの公式サイトでIDの事前取得が必要となる。販売はウェブサイト上で、店頭販売は基本的に行なわれていない。ちなみに新型コロナウイルスの感染拡大以前に販売されたシーズンチケットは、払い戻しの対象となり使うことができない。

　水谷社長の表情が険しくなる。

「仕事が忙しくて1試合ごとにチケットを買うのが手間なんですとか、ご高齢でJリーグIDの取得が難しい、といった方もいらっしゃいます。それから、私たちの場合はスタジアムの小ささを気にする方もいると思います」

　湘南がホームとするShonan BMWスタジアム平塚は、キャパシティが1万5380人だ。Jリーグではソーシャルディスタンス確保の配席として、「周囲との間隔をイスの中心から半径1メートル以上」としているが、5万人規模のスタジアムに比べると「距離が近いのでは」という印象を抱く人がいるかもしれない。

“アウェイサポ”が来場できない。

　湘南と同じ神奈川県内には、横浜F・マリノス、横浜FC、川崎フロンターレがJ1に籍を置く。お互いのホームゲームで、アウェイ席がにぎやかに埋まる。公共交通機関やマイカーなどを移動手段として、FC東京、浦和レッズ、柏レイソル、鹿島アントラーズのファン・サポーターもShonan BMWスタジアム平塚にやってくる。

　ところが、人の移動をできるだけ減らす目的から、現在はアウェイチームのファン・サポーターが来場できないのだ。

「近隣クラブとはお互いに行きやすいですが、ウチのほうが他チームよりも得をしていると感じていて、スタッフとは『我々の力がまだ足りない』と話しています。たとえばJ2でも平均1万人を超えるお客さんを集められる力を持てていれば、今回のようなことがあっても大丈夫なんだと思う。5000人に届かないのは、我々の実力の表れです。まだまだもっと、できることがあると思います」

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