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観客5000人はどれぐらいキツい?
ベルマーレ社長が語る苦悩と活路。
posted2020/08/26 11:50
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
J.LEAGUE
新型コロナウイルスの感染状況を見れば、これまでと同じようにはできない。それは分かる。しかし、クラブの経営は大きな打撃を被っているのではないだろうか。
Jリーグは7月10日から、観客を入れて開催している。ところが、各クラブにとって必ずしも喜べる状況ではない。「5000人」の収容制限が設けられているからだ。
1万5000人収容のスタジアムであれば、1万人分の入場料収入を最初から諦めなければならない。Jリーグが開示しているクラブ経営情報によると、各クラブの営業収益の1位はスポンサー収入で、次が入場料収入である。収益の大きな柱を削られてしまっているのだ。
現場の声を聞いてみる。
湘南ベルマーレの水谷尚人代表取締役社長が、ストレートな思いを明かしてくれた。ホームタウンの人々やスポンサーとの距離が近く、ファン・サポーターとの関係も密接なこのクラブは、様々な情報を可能な限りオープンにしている。
「制限付きでも試合をやったほうがいいのかどうかを聞かれることがありますが、私たちはこの人数でもできるほうがありがたいです。行政の理解をいただいていて、業者の方々にも協力をいただき、試合の運営費を抑えることができていますから」
3000~4000人台の動員数が続く。
リモートマッチと名付けられた無観客試合を経て、7月12日の第4節から上限5000人で観客を入れて開催できるようになった。スタジアム近くのフードパークにも、お馴染みのキッチンカーが並んだ。
「そこで食事を楽しんでいる人たちが、ものすごく嬉しそうだったんですね。お客さんに来てもらって良かった、と思いました」
胸が熱くなるような光景に触れたものの、すぐにシビアな現実に直面していく。その日の北海道コンサドーレ札幌戦は3327人、22日の鹿島アントラーズ戦は3498人、8月1日のセレッソ大阪戦は3494人と、上限の5000人に届かないのだ。8月12日のルヴァンカップで記録した4236人が、ここまでの最多動員となっている。
動員に苦戦しているのは、湘南だけではない。2000人台が続くクラブもある。上限5000人に達した試合は、11節終了時点でひとつもない。