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“CLの王様”レアル撃破、マンCの妙。
冴えるグアルディオラ流ハイプレス。 

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井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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photograph byREUTERS/AFLO

posted2020/08/08 20:00

“CLの王様”レアル撃破、マンCの妙。冴えるグアルディオラ流ハイプレス。<Number Web> photograph by REUTERS/AFLO

笑顔のジダン監督と握手に応じるグアルディオラ監督。稀代の名戦術家はマンCでのCL制覇を成し遂げられるか。

モダンなハイプレスがカギとなった。

 第1戦でレッドカードを受けたセルヒオ・ラモスが欠場になるとはいえ、カゼミーロやラファエル・バランを中心に堅守が維持され、攻撃陣のスターたちが瞬間的な輝きを放てば、またしても格や経験がモノを言うことになるのではないか。そんな見方もあったわけだ。

 しかし勝負を決するリターンマッチでは、マドリーではなく、シティの守備がカギとなった──同じディフェンスでもレアルのように相手を待ち構えるものではなく、モダンなハイプレスだ。

 シティは低い位置からボールを繋ごうとするマドリーに重圧をかけ、序盤から相手のリズムを崩していく。そして9分にはGKティボウ・クルトワからボックス右でパスを受けたバランにガブリエル・ジェズスが詰め寄り、奪ったボールを横に出し、ラヒーム・スターリングが難なく決めて先制。

 指揮官の戦術が最良のスタートを導き出したわけだが、当のグアルディオラは「ガブリエルが機転を利かせて、相手のミスを誘ってくれた」と、負傷中のセルヒオ・アグエロの不在をまったく感じさせなかったストライカーを褒め称えた。

偽9番を置き、高い位置から苦しめる。

 第1戦に続いて偽9番(トップ下とも言えるか)を置いて試合を始めたのは(第1戦はベルナウド・シウバ、第2戦はフィル・フォデン)、相手のCBとボランチにマークをつけて、高い位置からレアルを苦しめようとしたからだろう。

 その後、ロドリゴのクロスからカリム・ベンゼマに決められて、前半は1-1で終了。グアルディオラ監督はハーフタイムに「ウイングにより外に開くよう指示し」、後半早々にチャンスを生み出した――ケビン・デブライネの完璧なスルーパスに、ワイドから斜めに駆け込んだスターリングが受けてゴールを狙ったものだ。

 それは監督の鋭い洞察力だけでなく、リードを守ることを良しとせず、あくまでも攻撃にこだわる指揮官とチームの哲学を示していた。

【次ページ】 「後ろでのミスは厳しい罰が」

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