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五郎丸らが高校生の思い出試合を解説。
苦境に屈しないラグビー界の結束。 

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多羅正崇

多羅正崇Masataka Tara

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photograph by(一社)スポーツを止めるな

posted2020/08/05 17:00

五郎丸らが高校生の思い出試合を解説。苦境に屈しないラグビー界の結束。<Number Web> photograph by (一社)スポーツを止めるな

「思い出の試合」を野澤氏、五郎丸、谷口アナが実況・解説をつけてプレゼント。上映会を見た石巻工業のラグビー部は大いに喜んだ。

大山加奈さんのアイデアから。

 第1弾はラグビーの「石巻工業高校×佐沼高校」で、解説は五郎丸と野澤氏、実況はラグビーファンにはお馴染みの谷口廣明アナウンサーが担当。3者がオンラインで音声を事前収録した試合映像は、7月27日に宮城・石巻工で開催された上映会でお披露目され、メディアにも大きく取り上げられた。

 このプロジェクト実現の背景にも、ラグビーならではの絆があった。

「青春の宝」プロジェクトの発端は5月30日に開催された、6競技12人のトップランナーによるトークイベント「#スポーツを止めるな2020」だった。元女子バレーボール日本代表の大山加奈さんがコロナ禍における子供達へのアプローチを訊ねられ、こんなアイデアを明かした。

「試合映像をもらって、そこに実況と解説をつけて贈るのはどうかなと思っています。バレーボールでは春高に出場しなければ、なかなか実況と解説は付けてもらえません。もしプレゼントされたら宝物になるのではないかと思っています」

 このアイデアに共感した野澤氏らのプロジェクトチームは、大山さんと共に実現へ向かった。さらに「スポーツを止めるな」活動に継続性をもたせるため、迅速に法人化へ動いた。

「6月上旬に『青春の宝』プロジェクトを始めると決まりました。話し合いを重ねるうちに『コロナ禍での一時的な活動ではなく、スポーツをもっとオープンで学びの多いものにしていく持続的な活動にしたい』という話になり、一般社団法人『スポーツを止めるな』を設立しました」(野澤氏)

 プロジェクトのサービス利用は無料とし、活動資金は9月30日まで募集するクラウドファンディングに頼ることが決まった。

実現に漕ぎ着けたラガーマンの結束。

 この一般社団法人の設立にあたり中心的役割を果たしたのは、プロジェクトメンバーの一人で、野澤氏とは慶大ラグビー部で同期だった最上紘太氏。

 そして「青春の宝」プロジェクトの実現にあたっては、もう1人の同期を頼った。野澤氏と同学年で、2011年ワールドカップの日本代表キャプテンを務めた菊谷崇氏だ。

「プロジェクト実現のためには、対戦した2チームの許可はもちろん、実況解説のための選手のひらがな表記、スコアなどの試合情報が必要でした。初回は知り合いでなければどうしても難しく、同期の菊ちゃん(菊谷崇)の繋がりで、石巻工業さんを紹介してもらいました」(野澤氏)

 菊谷氏は大阪体育大学出身だが、ラグビーを愛する同世代OBは、出身大学の垣根を越えて結びついている。プロジェクト始動から約1カ月での法人設立、企画実現の背景には、同世代ラガーマンの結束があった。

【次ページ】 合宿地の聖地・菅平のプロジェクトも。

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