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オリックス山本由伸に備わる“基準”。
満足しないエースはどこまで行く? 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byKyodo News

posted2020/07/20 12:00

オリックス山本由伸に備わる“基準”。満足しないエースはどこまで行く?<Number Web> photograph by Kyodo News

打線の援護もなく、今季初黒星を喫したオリックス山本由伸。柳田らに痛打される場面もあったが、次回の登板に期待を抱かせる投球だった。

ストレートの威力が増した4年目。

 2年目はリリーフとして好投を続けて8回を任されるようになり、54試合に登板して32ホールド、防御率2.89という成績を残した。チームの中で重要な立ち位置を築いたが、そこでも山本は満足しない。

「チームを勝たせられるエースになりたい」という目標のため、先発転向を志願。3年目は開幕からローテーション入りを果たした。

 3年目は変化球の種類も精度も増した。150キロ前後のツーシームを習得し、落差の大きいカーブを使う機会も増えた。封印していたスライダーも、少しずつ投げ始めた。

 今シーズンに向けては、「まっすぐの強さを求めてやってきた」と山本は繰り返していた。今季初登板となった6月21日の東北楽天戦の初回に、その成果を見せつけた。

 先頭の茂木栄五郎に対し、力の乗った150キロ台のストレートで3球三振。2番鈴木大地に対してもストレートで追い込み、フォークで空振り三振。3番ジャバリ・ブラッシュも、最後は155キロのストレートで3球三振。圧巻の11球だった。

 ストレートの威力が増したことで、変化球もより活きている。特にストレートとの球速差が約30キロにも及ぶカーブは効果的だ。どの球種も決め球になる上、140キロ台後半のフォークは、握りの深さや力の入れどころ、力を入れる向きなどを変えることで、変化を自在に使い分けている。

 満足しないエースの行き着く先は、まだまだ山本自身にも、誰にも、想像がつかない。

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