話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
仙台に帰ってきた西村拓真の現在地。
Uターンは意外と難しいが、希望も。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE
posted2020/07/07 11:40
珍しい経緯で帰国した西村拓真だが、仙台にとって頼れる切り札になる可能性を十分に秘めている。
柳沢も宇佐美も高原も苦労した。
それゆえ、帰国したらまったく異なるサッカーに取り組む意識が必要になるのだが、なかなかフィットせず苦しむ選手が意外と多い。
柳沢敦はメッシーナから鹿島に戻った時はイタリアで失われた良さを取り戻すのに苦労していたし、宇佐美貴史もデュッセルドルフから戻ってきた時は、コンディションの問題もあり、フィットするまで少し時間を要した。
ドイツや韓国でプレーし、帰国した高原直泰は「帰国して、よく海外でやってきたものをそのまま出せばいいとかいうけど、それほど簡単じゃない。日本のサッカーに切り替える時間が必要」と語っていた。
しかも西村が戻ってきた古巣は監督が代わり、チームスタイルもメンバーも変わっている。自分を理解してもらいつつ、味方の個性を把握し、細かい戦術も理解していかなければならない。また、試合からは1月以来、離れている。いくらチームで仲間たちと練習し、練習試合をこなしても実戦はまったく異なるものだ。
ゴール前の判断がまだ遅い。
湘南戦での自分のイメージとプレーが噛み合わない様子を見ていると、日本のサッカーのスピード感や湘南のプレッシングの早さなど、戸惑うことがあったのは間違いないだろう。
特に気になったのは、ボールを呼び込み、スルーパスに反応するまではいいのだが、シュートやゴール前での判断が遅く、ことごとく相手に詰められていたことだ。後半16分のプレーはまさにそうで、アレクサンドレゲデスのスルーパスをいいタイミングで抜けて、受けるところまでは素晴らしかった。
だが、シュートにもたついて相手に詰められ、フィニッシュすることができなかった。前半9分にも同じようなシーンがあり、結局、この日はシュートがゼロに終わった。