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コロナに苦しんだディバラの逆襲。
「調子はよくない」のに芸術弾連発。 

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神尾光臣

神尾光臣Mitsuomi Kamio

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photograph byGetty Images

posted2020/07/04 11:00

コロナに苦しんだディバラの逆襲。「調子はよくない」のに芸術弾連発。<Number Web> photograph by Getty Images

ゴール後のお馴染みのポーズで人気のディバラ。コロナウイルス罹患で苦しい時期もあったが、終盤戦で輝いている。

ユーべの危機を救うシャープな一撃。

 そして迎えた、6月30日の第29節ジェノアvs.ユベントス戦。残留争いの只中に巻き込まれたジェノアは、ユーベに対し執拗な組織守備を敷いた。全体をコンパクトに収縮させて、ゴール前のスペースを消す。シュートを枠に飛ばされても、GKマッティア・ペリンが素晴らしい反応を見せてゴールを許さない。前半はノーゴール。積極的にチャンスを作っていたユーベではあったが、試合の雰囲気は硬直したものになっていた。

 しかし、これを崩したのがまたしてもディバラだった。

 50分、エリア手前でボールを受けると、背後にDF2人がラインを組んでいたことを確認し、右サイドにいたフアン・クアドラードへパスを流す。相手の視野がボールホルダーに行き、最終ラインはクロスを警戒してゴール前のラインを整えた隙に、自らは一歩下がってエリアの前でボールを呼び込んだ。

 ジェノアの選手の視野から外れ、エリア手前でまんまとフリーになる。そしてリターンを貰えば、慌てて詰めてきたDFをワンタッチで置き去りにしエリアの中に侵入。前にいた2人がシュートコースを切りに来ても、繊細なボールタッチで急激に横へ移動し、隙を見つけるや振り幅のシャープなキックでシュートを放つ。ゴール左下隅のコースを捉えたボールはペリンも止めきれず、ゴールネットを揺らした。

放出の噂は消え、2025年まで契約延長も。

「フィジカル面でもメンタル面でも、彼が他の選手より苦しんでいる様子は見えなかった。成熟し、落ち着いている。あの経験は彼にネガティブなものをもたらしかねなかったが、むしろ良い方向に影響が出ている」

 6月12日のコッパ・イタリア準決勝ミラン戦後、記者会見でサッリ監督はディバラについてこう語った。リーグの前哨戦となったコッパ・イタリア決勝でこそPK戦で失敗してしまうが、リーグに入ってからはこの言葉通りに成熟したところを見せている。

 そして、クラブは方針を変えたようだ。放出の噂は消え、年俸アップの末に契約を2025年まで延長するという話がメディアの間では浮上している。

 6月29日にはアルトゥールとミラレム・ピアニッチを相互に売買する形でトレードを成立させたが、1年前の状況であればディバラを差し出してキャピタル・ゲインを得る方向に舵を切っていたはずだ。

 リーグ終了まで9試合を残した時点で10ゴール10アシスト。5ゴール2アシストに終わった昨季とは数字も異なったものになっている。アフターコロナのサッカー界で、ディバラは真のフォーリクラッセとして覚醒を遂げる。

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パウロ・ディバラ
ユベントス

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