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コロナに苦しんだディバラの逆襲。
「調子はよくない」のに芸術弾連発。
text by
神尾光臣Mitsuomi Kamio
photograph byGetty Images
posted2020/07/04 11:00
ゴール後のお馴染みのポーズで人気のディバラ。コロナウイルス罹患で苦しい時期もあったが、終盤戦で輝いている。
「ディバラはフォーリクラッセだ」
ただ、監督の信頼自体は変わらない。「ディバラはフォーリクラッセ(規格外の選手)だ。フォーリクラッセは年齢と成熟するとともにそれらしいプレーをするようになっていくもので、そこに監督としてできることは少ない。彼をベンチに置くのは冒涜だ」。
サッリはそのようなメッセージを通して伝え、ディバラのプライドをくすぐっていった。ピッチに置けば守備上のタスクは課すが、攻撃の際には動きの自由は保証する。
1月からはリーグ戦でノーゴールの時期が続いたものの、その間は味方との連係を高めてアシストを稼いだ。ゴール量産とはいかなくても、決定的なラストパスなどを供給してチームの勝利を支えるようになった。
ディバラは成長し、大一番とされた第26節のインテル戦でも結果を出す。67分、右サイドから展開をしたのち自らゴール前に走ってボールを受けると、繊細なタッチによる切り返しでマークについたアシュリー・ヤングを置き去りにする。そしてミラン・シュクリニアルが足を伸ばす前に左足の外側をボールに当て、アウトサイドキックでシュートを左下隅へ流した。それは試合を決定付ける貴重な勝ち越し弾だった。
リーグ再開でこれまで以上の存在感。
シーズンも佳境を迎え、期待はさらに高まったが、そこにウイルス禍が降りかかる。リーグ戦は中断、CLも中断。チームが自主隔離措置に入る中、前述の通り自らもウイルスに冒される。だがリーグが再開されるや、彼はこれまで以上の存在感を放つようになった。
第27節のボローニャ戦では、フェデリコ・ベルナルデスキからエリア手前でヒールパスを受けるや、振り向きざまに左足を振ってゴール左上隅へミドルシュートを突き刺す。1点のビハインドから攻勢を仕掛けてきた相手にさらなるダメージを与える一発を叩き込んだ。
第28節のレッチェ戦では、ロナウドからの折り返しに反応し、エリア外から正確なミドルシュートをダイレクトで決める。攻め込みながら点が奪えなかった展開を動かす大事な先制点だった。