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ロナウドか、それともズラタンか?
今季話題の長身FWハーランドの秘密。
posted2020/07/01 18:05
text by
オリビエ・ボサールOlivier Bossard
photograph by
Franck Faugere/L'Equipe
アーリング・ハーランドの話は続く――――。多大な影響を受けた両親について、今後の目標やバロンドールについて、さらには自身の夢や未来の姿について……。言葉から浮き彫りになるのは、コミュニケーションに関して器用ではないがゆえに逆に明確になる、質問に対して真摯に向き合う19歳の青年のナイーブな姿である。その妙味をじっくりと味わって欲しい。
監修:田村修一
1m94cmの高身長で足も速い……その原点は?
――イングランドでプロ選手だった父親の話はよく出ますが、やはり優れたアスリートだった母親はほとんど話題になっていません。
「彼女は7種競技のチャンピオンだった」
――彼女もあなたのキャリアに何かを与えたのではありませんか?
「影響は大きかった。母と一緒に陸上の練習に行った。ずっと母の後をくっついて、陸上トラックが僕の遊び場だった。自分の力を試すこともできた。後にスピードアップのトレーニングでもそれは役に立ったよ。フィジカル強化全体の面でもね」
――PSG戦では、60mを6秒64で走っていました。1m94㎝の長身で、どうしてそう速く走れるのでしょうか?
「母は本当に速かったし父も速く走った。幸運にも彼らから能力を受け継いだ。身体的には恵まれたと思う」
――陸上競技で信じられない記録を持っているそうですが?
「それは本当だ」
――説明してもらえますか?
「今も立ち幅跳び(助走なしで前に飛ぶ競技)で5歳の世界記録を持っているよ(2006年1月22日にハーランドは1m63㎝の世界記録を樹立)」
――あなたは父親についてはよく話しています。今も一番近しい存在なのでしょうね。
「うーん……」
――あまり話したくないですか?
「そんなことはない。父はたしかに大きな存在だ」
――身体が大きいことが障害になったこともありますか?
「かつては僕より年上で身体も大きな人たちとプレーしていた。僕も今のように大きくはなかった。もっと小さくて、そんな中でプレーすることに慣れた。その後、成長して、気づいたら自分が一番大きくなっていた。変化にはうまく対応できた。何の問題もなかった」
――当時のあなたは《マンチャイルド》というニックネームでした。大人子供の意味ですが。
「(微笑みながら)ああ、そうだった。そう呼んでいた人たちに、どうしてなのか聞いてみるといい」