オリンピックへの道BACK NUMBER
フェンシングの新しい観戦スタイル。
ネット配信と投げ銭で認知度アップ?
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKyodo News
posted2020/06/28 11:30
6月25日、オンライン形式の会見をする太田会長。「投げ銭」とクラウドファンディング合わせて500万円の集金を目標とし、大会運営費などに充てる。
「ギフティングサービス」を実施する。
だが今年は、来場する観客収入を失うことになる。これまでの手法をとることができなくなった。ただ、そのままで終わらそうとはしていない。
クラウドファンディングを行なうとともに、先に記したインターネットでの配信において、「ギフティングサービス」を実施するという。
ギフティングサービスとは、いわゆる「投げ銭」とも言われるもので、ポイントを購入するとそのポイントが対象者に送られるサービスだ。実質、受け取る側の収益となる。
また、「新時代の観戦体験を実現していきたい」(太田会長)という意図から、試合が行なわれている背景の工夫、選手のプレーにおける動作の映像ならではの演出などにも取り組む。
より広く接する、触れる機会を作る。
現状、フェンシングは競技の名称としては知られていても、ルールをはじめ、プレーの内容その他、中身に関しての認知が高いとは言いがたい。
また、突くときの動作などスピード感にあふれるが、観戦経験の度合いによっては、実際に会場で観戦しているとどういう現象が起こったのか、把握しにくい部分がないとは言えない。
そういう意味では、映像で伝えることは、ルールや試合の進行などの解説も含め、やりようによって分かりやすくできる余地が大きいし、見せ方によって競技の新たな可能性を生み出せる。
会場に呼び込むことも大切だが、配信という形式で、より広く接する、触れる機会を作ることは、だからこそ、重要性を持っている。
認知度の向上を図り、競技の地位そのものの向上を目指してきた中、無観客試合であることは、決してマイナスばかりには働かないし、好機と捉えることができる。