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12通りのスタメンで鷹は準備万端!
柳田悠岐、バレンティンが魅せる。
posted2020/06/19 11:40
![12通りのスタメンで鷹は準備万端!柳田悠岐、バレンティンが魅せる。<Number Web> photograph by Kyodo News](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/b/3/1500wm/img_b39552417ddbb879e15c43133a609148343661.jpg)
バレンティン(左)と話す柳田悠岐。この2人が今年のソフトバンクを引っ張っていくことだろう。
text by
![田尻耕太郎](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/b/4/-/img_b43fe1177a9daa14cc32a4042896cbe77339.jpg)
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
Kyodo News
ホークスは開幕前の練習試合を12戦行い、すべて違う12通りのスタメンを組んだ。
工藤公康監督はこれまでも相手先発投手の左右、さらには選手のコンディショニングを見極めて積極的にテコ入れするタイプだった。だとしても、就任してから過去5シーズンでここまで極端な“猫の目打線”を組んだことはなかった。
少なくとも、中軸打線をいじることはあまりしなかった。
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振り返れば、優勝請負人の異名をとった“工藤投手”がいたチームは、どっしりと構える監督が多かったのが影響しているかもしれない。'90年代前半の黄金期の西武は秋山幸二と清原和博が3、4番に安定して座った。ダイエーの場合、低迷期はともかく初優勝した'99年は王貞治監督が小久保裕紀を4番で我慢して使い続けた。その後の巨人でも優勝したシーズンは松井秀喜が不動の4番にいた。高橋由伸や江藤智らの打順は様々だったが、その理由は作戦面より体調を考慮したものだった。
この練習試合期間中、工藤采配も当初は過去の流れどおりだった。
3番・柳田悠岐、4番・ウラディミール・バレンティンだけは大木のごとく、太い根を張らせているように見えていたからだ。
19年目で、初めて見る打球だった。
この2人の打撃が、この練習試合では印象的だった。柳田は12試合で6本塁打をマーク。バレンティンは11日のオリックス戦(PayPayドーム)で放った1発のみだったが、実績を考えれば心配無用だ。
なにより驚いたのが14日の広島戦でバレンティンが放った打球だ。三回、先頭で打席に立ち、カープ新人の森下暢仁の投じた151キロの内角直球に対して強振。打球はほぼ垂直にものすごい勢いで打ち上がった。高く高く、どんどん上がる。するとマウンド上空付近、PayPayドーム天井の最も高い部分にある支柱の間をすり抜けた。あわや天井直撃である。そのまま内野グラウンドに急降下したボールを二塁手の菊池涼介が捕球したために記録上はただのセカンドフライとなったが、バレンティンの怪力ぶりに両軍ベンチから上がった驚きの声がドーム内に響き渡った。
ホークス取材19年目の筆者はほとんどの試合をこの球場で生観戦してきたが、あのような打球を見たのは初めてだった。