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12通りのスタメンで鷹は準備万端!
柳田悠岐、バレンティンが魅せる。
text by

田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKyodo News
posted2020/06/19 11:40

バレンティン(左)と話す柳田悠岐。この2人が今年のソフトバンクを引っ張っていくことだろう。
12日のホークスは怒涛の連打。
工藤監督は選手起用について投手も野手もコーチと相談をしながら決めていく。今回の構想も打撃コーチが持ってきた打順とのことだった。
「先発にとって立ち上がりはどんな投手でも不安なものです。僕もそうでした。まだ安定しないところを打って崩すために、調子のいいバッターを早めに並べる。これも一つの方法です」
12日のホークスはこの作戦が見事なくらいにハマった。相手は広島の開幕投手を務める大瀬良大地だったが、超積極的打線がエース右腕を粉砕した。初回1死後、2番・柳田が148キロ直球を力で右中間に弾き返して二塁打。そして3番・バレンティンが左前打で続いて1死一、三塁と先制機を作った。このおぜん立てにベテランの4番・長谷川勇也が右翼線へ二塁打を放ち先制点。なおも1死二、三塁で5番・松田宣浩も中前適時打でもう1点を追加した。ド迫力の4連打でさっそく2点を先取したのだ。
色々なことを試せた、いい12試合。
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大砲2人の打順を押し上げたときに肝心の中軸が弱くなると意味はないのだが、ホークスの最大の強みがぶ厚い選手層だ。長谷川は'13年にシーズン198安打を放って最多安打と首位打者を獲得した実力者。その後右足首の大怪我で出番を減らしていたが、この練習試合ではライトを守ったり、外野の頭を越す長打を放てば迷わず三塁まで全力疾走したりとここ数年で一番の状態の良さを見せている。「自主練習期間により股関節周りや背中の柔軟性を出すためのエクササイズを入れた。ランニングにもつながっているし、コンディション維持のプラスになっている」と言葉にも自信が現れている。
結局のところ、この柳田2番・バレンティン3番を試したのは1試合のみで、翌日からの2試合は元通りの位置に戻った。
工藤監督は「選択肢の一つ」と話し、練習試合の全日程を戦い終えた総括の中でも「首脳陣のみんなでシミュレーションをしたとおりに、色々なことを試すことができた12試合。いい12試合でした」と満足そうだった。