話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
1年で戦力外の元プロ選手が開発、
サッカー選手専門マッチングサイト。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byPLAYMAKER
posted2020/06/19 19:30
「PLAYMAKER」の生みの親である三橋亮太氏。自らのキャリアで得たものをサッカー界に還元しようと奔走している。
「何も知らない人間がここまで」
PLAYMAKERを開設してから、5年目に入った。
順調に成長曲線を描いているように見えるが、三橋氏は「何も知らない人間がここまでやれたのは驚き。でも、今は達成したい世界観を成し遂げなければ何の意味もないと強く感じる」と語る。
「僕らのサービスは、納得できるところまでチャレンジできるかどうかをKPI(重要経営指標)にしています。やり切って成就できるか。それができないならとことんやるべきですし、貫いた経験は他のステージでも応用できる強みになると思っています」
それは、三橋氏が選手時代に強く感じたことでもある。
「小さいときからプロになるためだけにやってきたけど、アルティスタで3年やってやめる時、もうやめてもいいと思えたんです。それは自分自身のチャレンジに納得できたから。ただ、今はそれだけでこのサイトの責任が果たせるのかという疑問が生じてきました」
プロを続けられなかったとしても。
そうした疑問が生じたのは選手のマインドの変化を実感したり、ある選手の言葉を聞いて、サイトの意味と価値観が広がりつつあることを感じたからでもある。
「ある選手がうちのサービスを利用してチャレンジしたんですが、最終的に決まらなかったんです。でも、彼は最後に『自分はもっとできると思ったけど、いろんなチームを受けたら自分の力が足りないのがよく分かったし、考え方が甘かったのも分かった』と言ってくれたんです。本来の道ではないけど、役に立てたなというのがありました」
逆説的ではあるが、選手に気づきを与え、新しい人生の道筋を作った。これからは、選手にプレーのチャンスを提供する場だけではなく「より大きな世界観で」サービスの充実を考えている。
「僕らは納得できるまで競技を続けてもらうことが大事だと思ってきましたが、本当に大事なことは、それと同時に“プロを続けられなかったとしても、サッカーを続けてきて良かった”と思えることだと思っています。社会にとってスポーツが『特別ではない特別な存在』になると素敵なのでは、と思うんです。そのために、このサイトを使っている間、選手の気づきや新しい価値観を意識せずとも習慣づくような仕掛けに挑戦したいと思っています」