話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
1年で戦力外の元プロ選手が開発、
サッカー選手専門マッチングサイト。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byPLAYMAKER
posted2020/06/19 19:30
「PLAYMAKER」の生みの親である三橋亮太氏。自らのキャリアで得たものをサッカー界に還元しようと奔走している。
協賛企業が見つからない中で。
長野県を中心に20社以上回ったが、すべて断られた。ある時、個人で開発を手伝ってくれる人が見つかったが、デモサイトを協賛企業に見せる前に連絡が取れなくなった。数日後に連絡が取れたものの、そうした詐欺紛いの被害にもあった。またある時には、ようやく協賛してくれそうな企業が見つかったものの、最終的に合意に至らなかった。
「その時は“なぜ協力してくれないんだ。なぜ分かってくれないんだ”っていうイライラが爆発しました。でも、やめようとは一度も思わなかった。これは絶対に社会に必要とされているものだという強い思いがあったからです。ただその時、稲妻に打たれたように、あることに気がつきました。僕には本気でやる覚悟が足りなかったと」
三橋氏は自らの貯金に加え、借金をして開発資金を作り、印刷工場を退社した。退路を断って進むしか活路は見出せないと悟ったのだ。すると、三橋氏の熱意と本気が企業や周囲の人たちに伝わったのだろう、少しずつ事態が好転し始めた。
構想から3年の月日が経過していた。
技術面だけではない魅力を伝える。
現在の「PLAYMAKER」の選手登録にはポジション、経歴やいろんな項目があり、プレーの動画も見られるようになっている。三橋氏は様々なマッチングアプリを見てリサーチした上で、あることに気がついたという。
「恋愛のマッチングアプリなど他のサービスを見て思ったのは、“人の評価って多面性があるな”ということです。基本的に選手の動画や経歴などでクラブに判断してもらうんですけど、その評価は単に技術面だけでいいのか? と思いました。
例えば岡野(雅行)さんは現役時代、技術以外の部分でも一生懸命に走るなど頑張って結果を出すことで評価され、長く活躍されました。スポーツの評価はそういう面もあっていいと思うんですよ。選手のあらゆる魅力を知ってもらえるような設定とサービスの仕掛けを重視しました」
そういった工夫を取り入れた同サイトにおいて、登録ポジションはFW、MF、DF、GKと4つがある。今、一番マッチングの成功率が高いのは、どこのポジションなのだろうか。
「最近はディフェンス、特にセンターバックとGKですね。やはり守備からというのと、なかなかいいセンターバックがいないというのが大きいと思います。指導者のマッチングもしているのですが、最近はGKコーチと若い指導者の需要が高いですね。各チーム、スクールが増えてコーチを増やさないといけない中、コストを抑えたいのもあるかと思います」