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コロナ禍とBLM運動をどう解決?
NBAリーグ再開に立ちはだかる難問。
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2020/06/17 17:00
元NBA選手で優勝経験もあるスティーブン・ジャクソンがミネアポリスでのBLMデモに参加。無くなったジョージ・フロイドとは長年の友人だった。
数人の有名選手が参加しない意思を示したという話も。
6月12日には、カイリー・アービング(ブルックリン・ネッツ)らの呼びかけで、再開に不安や不満を持つ選手たちを中心に、約80人の選手がZoomで話し合いを行ってもいる。
アービングは故障のために、どちらにしても今はプレーできる状態にないのだが、それ以外にもドワイト・ハワード(ロサンゼルス・レイカーズ)、カメロ・アンソニー(ポートランド・トレイルブレイザーズ)、ドノバン・ミッチェル(ユタ・ジャズ)らが、このZoom会談中に、現時点でプレーする意思がないことを表明したと伝えられている。
その一方で、シーズンを再開し、試合を行うことこそ、NBA選手としてこの運動を進めるやり方だという意見の選手もいる。
試合によって注目を集めれば、それだけ世間に自分たちの声を届けることができる。また、再開してサラリーを得ることで、家族だけでなく、ブラック・コミュニティをサポートすることができるというわけだ。
たとえば、オースティン・リバース(ヒューストン・ロケッツ)は、インスタグラムにこう書いている。
「この運動を助けたいというカイリーの情熱はとてもすばらしいと思う。立派なことだし、勇気も与えられる。僕もその意見には賛成だ。ただし、NBA全体や選手全員を犠牲にすることには賛成できない。両方ともできる。プレーし、同時に、黒人の命のありかたを変える助けになることができる。そうしなくてはいけないと思っている。シーズン再開をボイコットし、中止することがいいやり方だとは思わない。みんなプレーし、そうすることで変化を助けたいと思っているんだ」
「対立しているのではなく、話し合いをしている」
選手会のミシェル・ロバーツ事務局長は、ESPNの取材に答え、選手たちはプレーするかしないかで内部分裂しているわけではないと強調した。
「今、問題となっているのは、私たちが心から打ち込んでいる運動にとって、シーズンを再開することが害となるのかどうかということ。そして、逆にプレーすることで、この運動をさらに盛り上げることができないかということ。私たちは対立しているのではなく、話し合いをしている」
ESPNの番組に6月15日に出演したシルバー・コミッショナーは、異例な状況でのシーズン再開に躊躇を表す選手がいることに対して理解を示し、そのうえで、再開までに解決できる問題だと期待をこめて語った。
「選手会は450人の選手を代表する組織だ。22チームの合計で、2ウェイプレイヤーも含めて、約375選手がオーランドに行くことになる。その選手たちの意見が統一されていないのは驚くことではない。それでも、これから数週間で、それらの問題を解決することができると思っている」