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コロナ禍とBLM運動をどう解決?
NBAリーグ再開に立ちはだかる難問。
posted2020/06/17 17:00
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
Getty Images
NBAシーズン再開案をオーナー側と選手会側が承認してから、6月15日で10日が過ぎた。当初の予定では、承認の翌週にはNBAコミッショナーのアダム・シルバーがメディア会見を行うことになっていたが、いまだにその会見は行われていない。つまり、大枠の承認後に決めるはずだった詳細について公式に発表するまでの進展に至っていないということだと推察できる。
その理由のひとつとして、選手の間から、様々な意見や懸念の声が出たため、さらなる調整が必要になったことがあげられる。
たとえば、現在の再開案では、開催地となるフロリダ州のディズニーワールド・リゾート内にあるスポーツ施設「ESPNワイド・ワールド・オブ・スポーツ・コンプレックス(WWOSC)」の“バブル(感染対策用の隔離エリア)”に選手の家族が合流できるのは、プレイオフ1回戦が終わった後の8月30日以降と決められている。これは、“バブル”内の人数を抑えることで、感染のリスクを減らすための措置だ。
滞在チームが22チームから8チームに減り、滞在人数が半分以下になった段階で、1選手あたり3人までの家族が合流できるというわけだ。
感染拡大防止のためには正しいやり方だが、個々の選手、特に小さな子どもがいる選手にとっては、現在のコロナ禍と社会情勢のなかで1カ月半余り家族と離れて暮らすことに不安を感じるのも当然だ。
感染予防への疑念と行動の規制に対する反発。
ところでシルバー・コミッショナーは、WWOSCをあえて“バブル”とは呼ばず、“キャンパス”と表現している。完全に外の世界から遮断されるわけではないという意図をこめての呼び方だ。
たとえばホテルを含めた敷地内で働くディズニーの職員は、“バブル”内に滞在するのではなく、外の世界から通ってくる。それでも現時点では全員が検査を受ける予定にはなっていないため、本当に感染を防げるのか懸念する声もある。最近、周囲の地域の感染数が増加傾向にあるだけに、なおさらだ。その一方で、“キャンパス”であるにも関わらず、選手が外に出るには厳しい制限があり、詳細を知らされて初めて、行動の自由がないことに驚いた選手も多いという。