オリンピックへの道BACK NUMBER
東京五輪はコンパクトへ原点回帰。
ポイントは賛同や共感を得られるか。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2020/06/14 11:50
記者会見に臨む武藤敏郎事務総長の後ろにはUnited by Emotionの文字。スポーツを通して集まった人間が「エモーション」で繋がることはできるか。
「すべての国が参加できるのが完全な形」
また、追加経費の削減のため、五輪前のテスト大会など200を超える項目の検討も行なっていくことも明かした。
いずれにせよ、方向性は、従来の形では実施しない(できない)ことを受けて、オリンピックをどう実現させるかの1点にある。
森喜朗組織委員会会長は、こう語っている。
「できるだけ多くの国が、すべての国が参加できるのが完全な形」
それをどうクリアするかが大きな課題になる。
もともと「コンパクト」がアピールポイント。
すべての国が参加できる状態ということは、世界中で競技に打ち込める環境が整うことを意味する。
日本の状況だけが落ち着いていればいいわけではない。
オリンピックまでに各競技で代表選手が選ばれるためには国際大会が開催されるなど代表の資格を得られる場が必要だから、オリンピックが開催されるその時に収束していればいいわけでもない。
だが現時点で、新型コロナウィルスがどう落ち着いていき、おさまるのか、見通しははっきりとは立たない。もしすべての国の参加が成り立たなくても、参加できる国だけで行なうプランも出てくるのか……。
「簡素化」という点は、ある意味、原点に戻ることを意味するかもしれない。
この大会がもともと「コンパクト」をアピールポイントとして招致に成功したことを思い出してほしい。その後、さまざまな点で大会の肥大化が進み、結果的に当初のコンパクトとはほど遠い状況で進んできた。
新型コロナウィルスへの対策もあり、従来想定してきた経費は見直さざるを得ない。そこからの簡素化は、原点への回帰の流れでもあり、プラスの材料とすることはできる。