猛牛のささやきBACK NUMBER
オリックス熾烈な外野争いをリード。
10年目、今年の後藤駿太はしぶとい。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2020/06/11 11:30
練習試合で勝負強いバッティングを披露している後藤駿太。プロ10年目となる今季への意気込みを語った。
開幕スタメンを掴んだプロ1年目。
後藤は今年、プロ10年目を迎えた。
2010年秋のドラフトで、外れ外れ外れ1位で指名され、前橋商高からオリックスに入団。当時は後藤光尊(現・一軍打撃コーチ)がいたため、“駿太”の登録名でプロ生活をスタートさせた。
ルーキーイヤーは、当時の岡田彰布監督に高く評価され、開幕戦に9番・ライトで先発出場した。高卒新人の開幕一軍はオリックスで初。しかも高卒の新人外野手の開幕先発は、球界全体でも張本勲氏以来52年ぶりの快挙だった。
しかしレギュラーを、つかめそうでつかめない。そんなシーズンが続いた。俊足、強肩を活かした守備はピカイチだが、打撃が課題と言われ続けた。
華々しくデビューした期待の逸材だけに、コーチやOBはなんとかしようと様々なアドバイスをした。駿太はそれをすべて受け止めようとしてしまい、自分を見失うこともあった。
心機一転で臨んだ昨季も振るわず。
2014年はシーズン後半に出場機会を増やし、優勝争いを経験。日本ハムとのCS第3戦で放った先頭打者アーチは鮮烈だった。翌'15年は自己最多の135試合に出場した。ところが、'18年には出場試合がわずか33試合に。'19年は心機一転、登録名を“後藤”に変更して再スタートしたが、91試合の出場にとどまった。
ここ何年かのオリックスは、相手投手との相性を重視して選手を起用する傾向があり、調子が良くても、相手が左投手なら左打者の後藤は先発を外れた。守備固めや代走での起用も多く、試合終盤に打席に立つことはあっても、相手が勝ちパターンのセットアッパーやクローザーでは、簡単には安打は出ない。継続して結果を出すのが容易でない状況ではあったが、どこかでそれを言い訳にしているところもあった。
しかし今年は、「その中で結果を残さないと、生きていけない。その中で打って、結果を残すことで、価値が上がるし評価も上がる」と腹をくくっている。