欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
悪童バロテッリがまたも契約解除?
暴言、無断欠席で会長が絶縁宣言。
text by
神尾光臣Mitsuomi Kamio
photograph byGetty Images
posted2020/06/11 19:00
カルチョを背負って立つと嘱望されたバロテッリもこの8月で30歳。今もなお問題児ぶりは変わらないが……。
故郷ブレシアで再起を図ることに。
イタリア代表では、19歳にして招集されるやFWの主軸となり、EURO2012や2013年のコンフェデレーションズカップで活躍した。もっとも2014年のブラジルW杯では精彩を欠き、その後は4年にわたり招集から外れた。
その間にイタリアへ戻ったが、ミランでは故障続きで満足にプレーできない期間も続く。そして2016年ニースへ移籍するも、3年目の2018-19シーズンはパトリック・ビエラ監督から評価されず、途中で契約解除。オリンピック・マルセイユに移ってプレーを続けたが、6カ月限定の契約を更新することなくクラブを去った。
そんなバロテッリは2019年夏、出身地のブレシアと契約。再度イタリアで再起を図ることにした。
南部パレルモに移住したガーナ移民の子だったが、腸の手術の後で両親が経済的困窮を訴え、3歳のとき養子に出されて移り住んだのがこの地だったのだ。マルセイユでの最後の試合で受けた4試合の出場停止処分を消化し、エウジェニオ・コリーニ監督からの信頼を受けると、第5節のユベントス戦以降は主力として使われるようになる。
人種差別コールに激怒、一方で……。
だが第11節のベローナ戦で、スタンドから発せられた人種差別コールに激昂して自らピッチを去ろうとした。人種差別行為はもちろん許されるべきものではなく、サポーターを擁護しようとしたクラブ関係者も非難を受けた。
しかしその一方で、ブレシアのクラブ関係者はバロテッリに対して冷淡な声を上げていた。
「バロテッリの問題は“黒い”ということだ。なんとか明るくなろうとはしているものの、難しい」
こんなことを言い出したのは、なんとチェリーノ会長である。明らかに差別的でモラルを欠くものだったが、彼の内面について説いたのだという。
第12節のトリノ戦では、この日から指揮を執ったファビオ・グロッソ監督からハーフタイムでの交代を命じられる。「パフォーマンス上当然のことで、彼も理解していた」と監督は述べたが、その後に関係は悪化。練習では激昂したため退出を命じられて、「練習から全力で臨んで欲しかった」(グロッソ)という理由で次節ローマ戦へ向けた招集から外された。チェリーノの発言は、これを受けてのことだった。
その後、バロテッリとクラブとの関係はより一層ギクシャクしたものとなる。