フランス・フットボール通信BACK NUMBER
取材拒否のペップがクライフ愛を激白!?
「監督で最も重要なこととは……」
text by
フィリップ・オクレールPhilippe Auclair
photograph byfrance football//L'Equipe
posted2020/06/08 20:00
『フランス・フットボール』誌に掲載された、グアルディオラの記事。取材拒否のポリシーを貫く名監督の貴重な記録。
われわれの遥か彼方に彼はいる。
あなた方は、私がこう評価されているのを聞いているかも知れない。
「ペップ、君は本当に素晴らしい監督だ」と。
でもそれは忘れて欲しい。
クライフこそが最高の監督であるのだから。
われわれの遥か彼方に彼はいる。彼が作りあげたのはこれまでのサッカーの歴史上最も難しいものであり、誰もがそれを信じて追いかける目標となった。まさに、それこそが信じられないことなのだ。
まず選手を極限まで努力させる。その後で庇護する。
バルセロナの監督に就任した際に、私は何度も彼のもとに足を運んだ。
とりわけすべてのタイトルを獲得(=2009年。バルセロナはチャンピオンズリーグとリーガ、国王カップ、スペインスーパーカップ、ヨーロッパスーパーカップ、クラブワールドカップに優勝)した監督1年目は、頻繁に会いに出かけた。どれだけ感謝していたか、彼にも分かってもらえていたらと、心から願っている。
監督時代の彼はとても厳しかったが、ひとたびチームの中に入ると信じられないほどに選手をかばった。
まず選手を極限まで努力させる。
その後で庇護する。
選手を造形する彼の技術は卓越していた。それこそ名人芸といえるものだった。それぞれの成長段階で彼は、どうすれば最高になれるかをしっかりと理解させた。私もまた彼から最高になる術を教わった。その結果、常に上を目指し続ける今日の私があるといえる。
ただ、成功を渇望するのはまた別のことだ。
成功したいという思いはサッカーの世界では誰もが持っている。でもクライフは違っていた。彼が到達したのはもっと先の地点だった。彼は渇望の質を変えた。進歩するために何を考えるべきかを彼は知らしめた。私は大声でよくこう言われた。
「左足で(ボールを)コントロールしろ!」と。
というのも当初私は右足でしかコントロールできなかったからだ。彼が両足を使えるようにしてくれた。だから私も今は、自分の選手たちに同じことをしている。
彼はそれほどまでに卓越していた。