沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
ダービーの中心はコントレイル不動。
「運動神経が良い」は単純かつ強力。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2020/05/30 19:00
青鹿毛が美しいコントレイル。その能力の底はまだ見えていない。
ディープの代表産駒になるために。
父ディープインパクトの主戦をつとめた武豊は、「こういう馬が現れるのを待っていた」とディープを評した。「こういう馬」とは「単純に、足の速い馬」だという。
2005年の第72回日本ダービーで、足の速さを存分に発揮したディープは5馬身差の勝利をおさめた。
その代表産駒になろうとしているコントレイルは、中間、順調に調整されている。東京コースへの適性は、矢作調教師が「皐月賞よりも強烈なインパクトを受けた」と言う東京スポーツ杯2歳ステークスで実証済みだ。
父以来、15年ぶりとなる「無敗のクラシック二冠制覇」が現実味を帯びてきた。
コントレイルを止めるとしたら。
コントレイルの無敗二冠を阻止する馬がいるとしたら、皐月賞で2着に惜敗したサリオス(牡、父ハーツクライ、美浦・堀宣行厩舎)だろう。
デビューからの3戦はすべてマイルで、3戦目の朝日杯フューチュリティステークスを2馬身半差で完勝。筋骨隆々の馬体からもマイルがベストのように思われたが、最後までコントレイルに食らいついた皐月賞で、距離が延びても力落ちしないことを証明した。
朝日杯ではラスト200m手前で先頭に立つまで、皐月賞ではゴール前まで右手前のままで走るなど、手前の替え方に課題はあるが、東京での過去2戦では、直線に入るとすぐに手前をスイッチしていた。
母がドイツのオークス馬サロミナという母系からも、ひょっとしたら、距離が延びるとよりいいタイプかもしれない。
現状では、コントレイルとサリオスの「二強」の力が抜けているが、弥生賞ディープインパクト記念を勝ったサトノフラッグ(牡、父ディープインパクト、美浦・国枝栄厩舎)の一発もあり得る。鞍上は日本ダービー最多の5勝を挙げている武豊。一か八かの乗り方をしてくるのではないか。
もう1頭食い込んできそうなのは、その弥生賞ディープインパクト記念で2着になったあと、ここ1本に備えてきたワーケア(牡、父ハーツクライ、美浦・手塚貴久厩舎)だ。