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ドイツ人選手は寄付も巨額で明確。
ロイスの地元愛、キミッヒらの基金。
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byAFLO
posted2020/04/19 19:00
ロイスはやんちゃな印象が強いが、こういう時にキッチリ行動力と哲学を発揮できるかっこいい人間なのだ。
クロースの「返上反対」にドイツの反応は?
一方でレアル・マドリーでプレーする、トニ・クロースの「給与の一部返上には反対」と発言したとする報道も大きな話題になった。そもそもはSWR(ドイツ南西放送、ドイツの公共放送の1つ)のポッドキャスト番組での発言だったが、マドリードはとりわけ被害が大きかった地域だけに、スペイン国内では強く批判された。
だが、ASなどの報道を受けたSWRのウェブサイトによれば「単なる返上ではクラブに無駄に寄付するようなもので、クラブは現状さほどの資金難に陥っていない。それだったら全額給料を受け取って、しかるべきところに寄付する方がよいと考えている。リーグ戦の再開時期によっても状況は変わるだろう」という趣旨だったとのこと。
要は、自分が判断した上で必要なところへしかるべき額を援助したいということだ。使途が不明瞭になったり、どこかでだぶつくのを避け、自分のお金や影響力をより有効に使いたいという考え方は、他のドイツ人選手たちとも共通している。
もっとも、ブンデスリーガでもクラブによっては職員のために選手や監督らの給与カットが行われる方向だ。
CL出場の4クラブが他クラブを救済。
また、チャンピオンズリーグ出場のバイエルン、ドルトムント、レバークーゼン、ライプツィヒの4クラブは、財政的に苦しいクラブへの救済を行う。DFLからの放映権の積立金の分配を辞退し、さらに4クラブで出資した総額2000万ユーロを財政難のクラブの立て直しにあてる。
キッカー誌によれば1部2部全36クラブのうち、13クラブが倒産の危機に瀕しているという。5月にリーグ戦を再開できなければ1部の1クラブと2部の7クラブが、6月に再開できなければ1部の3クラブと2部の2クラブが破産手続きに追い込まれる。
5月上旬の再開をいまだに諦められないのには、そうした具体的な背景がある。再開したとしてもガイスターシュピール(無観客試合)は避けられないだろうが、それでも必死に再開を目指している。