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ドイツ人選手は寄付も巨額で明確。
ロイスの地元愛、キミッヒらの基金。
posted2020/04/19 19:00
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph by
AFLO
そろりそろりと、寝た子を起こさぬように用心深く気を使いながら、ドイツでは各クラブが静かに練習を再開している。
DFL (ドイツサッカーリーグ機構、つまりブンデスリーガ)からの練習停止要請が4月5日でようやく終了したからだ。各クラブは地方自治体の指示にも従う必要があるのだが、アウクスブルクでは3月23日から、ドルトムントでは3月31日から、一番遅いマインツ、フライブルク、ブレーメンでも4月7日からチームでの練習をおこなっている。
とはいえ、練習チームとは名ばかりで、活気溢れる光景が戻ってきた! とは言い難い。グループ分けを行い、少人数で遠くからのパス練習などを行うのみで、接触の可能性のある対人プレーやゲーム形式にはほど遠い。食事は持ち帰り、シャワーは自宅で浴びるなど練習が終わっても非日常は続く。もちろんファンの見学も厳禁という状況が続いている。
DFLは4大リーグで唯一、少なくとも4月中の中断と日程を明示しており、いまはリーグ戦再開を模索している。スペイン、イングランド、イタリアは無期限延期で再開の日程には今のところ触れておらず、大きく姿勢が違う。
しかし現実問題として5月の上旬に再開が可能かというとまた別の話で、懐疑的な声が大きい。4月20日頃までには、あらためて1部2部全36クラブによる話し合いが持たれるそうだ。
5万6000人の生活を抱えるリーガ。
ともあれ5月上旬に試合を行うという目標設定で、各クラブ準備を徐々に始めているという段階である。UEFAを見ても、クラブも代表も全て延期になり再開のめどがたっていない。CL決勝トーナメント1回戦セカンドレグ4試合とそれ以降や、欧州選手権、新設される女子の欧州選手権は延期。U-17やU-19はキャンセルされた。
これまでブンデスリーガは、UEFAの動きなどを考慮しながら、小刻みに再開日程を設定しては後ろに動かしている。3月16日に行われた総会で「競技実施の可能性、そして各クラブとその子会社において直接また間接的に約5万6000人の従業員を抱える雇用者として、経済的基盤の確保」が焦点となったと発表している。
周辺で働く人間たちの生活と雇用を守らなければならないと、早い時点から極めて具体的で目的がはっきりしている。