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早すぎたリオ五輪の日本人対決。
今も続く奥原希望と山口茜の物語。
posted2020/04/12 20:00
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
Shinya Mano/JMPA
早すぎる日本人対決に、誰もが「もっと上で見たかった……」と悔やんだはずだ。
2016年8月16日、リオデジャネイロ五輪バドミントン女子シングルス準々決勝。
予選リーグを順当に勝ち上がった奥原希望と山口茜は、決勝トーナメント1回戦で、奥原が韓国選手を圧倒し、山口は格上のラチャノック・インタノン(タイ)にスピード溢れる攻撃を仕掛け競り勝った。そして準々決勝で奥原と山口の対戦が決まった。
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五輪での日本人対決はバドミントンが(五輪に)採用された1992年のバルセロナ大会以降初のこと。異例の日本人対決に注目が集まった。
リオ五輪当時の世界ランクは奥原が6位、山口が12位と、奥原が一歩リード。この対戦までも、2人の直接対決の成績は国際大会では奥原が5戦全勝と圧倒的に有利な立場にいた。山口の前には常に奥原が立ちはだかっていた。
先取した山口、徐々にリズムをつかむ奥原。
最初序盤からスピードをあげて全力で勝負しようとゲームに入ったという山口は、作戦通り、第1ゲームの出だしから飛ばした。スピードや読みで圧倒し、次々と鋭いショットを決め、ゲームの主導権を握る。山口は21-11と一方的な展開で、第1ゲームをものにした。
しかし、第2ゲームに入ると流れが変わり始める。体力勝負では負けない自信がある奥原は、コート内を縦横無尽に走り回り、届きそうもないシャトルを拾いまくった。要所で強烈なショットを決めると、奥原は少しずつリズムをつかむ。
さらに、繰り返されるラリー中に、シャトルをネットにかけるなど、山口に徐々にミスが目立ち始める。第2ゲームは奥原が21-17でものにした。続く最終第3ゲームも巧みな配球でペースを握り、21-10。奥原がゲームカウント2-1で逆転勝利を収めた。