箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
箱根に関東インカレ中止の影響は?
出雲や全日本は主力不在の可能性も。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNanae Suzuki
posted2020/04/08 11:40
駅伝は距離だけでなく、その調整・強化も長丁場の戦いなのだ。1つが崩れると、その影響は計り知れない。
練習、調整、レースのサイクルが崩れる。
またコンディションの維持が難しくなり、レース勘を失ってしまう。選手は練習、調整、レースというサイクルでトラックシーズンを過ごしていく。こういうリズムが実に大事なのだが、ずっと練習のままだとメリハリがなくなり、コンディションのピークの持っていきどころがなくなってしまう。
そうなればモチベーションは低下するし、気持ち的にもモヤモヤしたままの状態がつづき、ストレスにもさらされる。
いちばん大きいのは自己の成長をタイムで客観的に見られなくなってしまうことだ。
陸上部の選手にとってタイムは目標であり、自分の現在地を知る重要なもの。公式レースで相手と戦い、良いタイムを出して、勝てば自分がやってきたことが正しかったと確認ができるし、自信がつく。
そうして選手としてのレベルアップや成長を実感できるし、それが次への活力になる。
ゆえにレースは重要なわけだが、とりわけ関東インカレは上半期の自分の取り組みを確認する場であり、トラックシーズンの後半戦に向けて自身の強化プランを継続するか、変更するかを判断する場でもあった。
そのためにこそキツイ練習を頑張ってこなせるのだが、その成果を発揮する場を失うのはボクサーがリングに上がれなくなるのと同じくらいショックが大きい。
4年生があまりにも不憫。
それでも2、3年生は、まだ先があるからいい。
だが、4年生にとって上半期のノーレースは悲劇でしかない。
学生最後のトラックシーズン、大学で競技生活の引退を決めている選手、3年間で芽が出ずラスト1年を勝負だと位置づけ、努力をつづけてきた選手はこの時にすべてを賭けていたはずだ。だが、何も勝負ができないまま上半期のシーズンを終えてしまう可能性が高くなった。実業団に行く選手はまだしも、覚悟を持ってラストシーズンに臨んだ4年生の気持ちを考えると、あまりにも不憫で、胸が痛む。