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箱根に関東インカレ中止の影響は?
出雲や全日本は主力不在の可能性も。
 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byNanae Suzuki

posted2020/04/08 11:40

箱根に関東インカレ中止の影響は?出雲や全日本は主力不在の可能性も。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

駅伝は距離だけでなく、その調整・強化も長丁場の戦いなのだ。1つが崩れると、その影響は計り知れない。

夏合宿の実施にも影響が?

 また、萩生田光一文科相が教育実習について、本年度前期の実施を見送り、秋以降に変更するよう通知する考えを明らかにした。仮に秋の駅伝シーズンに実施されると教育実習を考えていた4年生、特に主力選手に大きな影響が出るのは間違いない。

 1年生にとっても大会がなくなる影響は大きい。上半期は授業を受けて、練習をして、大会に出場するというサイクルに身体と頭を慣れさせていく大事な時期だ。だが、今年はこのままいくと寮生活には慣れても先輩との強度の高い練習やレースを経験できず、自分の力をタイムで証明するチャンスを失ったまま夏合宿に突入することになる。

 希望と野心に胸を膨らませ、力を試したいと入学してきた1年生にとっては出鼻を挫かれるだろう。

 コロナ禍の終息の兆しが見えなければ、今後、強化プランを含めあらゆるところに大きな影響を及ぼすことになる。

 例えば、夏合宿だ。7月ぐらいまでに状況が好転しなければ最悪の場合、大学から部活動の夏合宿の中止や自粛が求められる可能性が出てくる。実施できたとしても従来のように大人数での長期間の合宿は困難になるかもしれない。クラスター感染の危険性があるからだ。そうした場合、少人数に分け、合宿期間をズラして行うなど、これまでにない難しい対応が求められることになるだろう。

出雲駅伝と日本選手権のチョイスも発生?

 大学駅伝にも影響が出てきそうだ。

 3大駅伝の初戦である出雲駅伝が10月11日に開催予定だ。通常は、9月の日本インカレが終わった後ぐらいに出雲のエントリーメンバーを提出。日本インカレを走った選手はそこから出雲駅伝のチームに加わり、約1カ月で仕上げていった。

 日本陸連のアナウンスによると延期した日本陸上選手権を今年は9月末から10月上旬にかけて開催する予定だという。出場権を持つ選手は、日本選手権を優先することになるだろう。2021年は東京五輪があり、来年の選考会に挑むにはタイムが必要になるからだ。

 まだ正式決定ではないが、この時期に日本選手権が開催になると出雲駅伝のメンバーに影響が出てくる可能性が極めて高くなる。大学によっては出雲駅伝に主力選手が出場できないケースが生じてくるだろう。

【次ページ】 出雲、全日本は開催の是非すら問われる。

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