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米名門大教授が語る睡眠とスポーツ。
寝たらシュート成功率は上がる?

posted2020/03/31 19:00

 
米名門大教授が語る睡眠とスポーツ。寝たらシュート成功率は上がる?<Number Web> photograph by Getty Images

睡眠の質はアスリートのパフォーマンスに大きな影響を与える。

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田中大貴

田中大貴Daiki Tanaka

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Getty Images

 近年、「睡眠」が多くの人の関心を集めている。睡眠は誰もが取らなければならないし、何かと忙しい現代人にとってその質、量を確保するのは大きな課題だ。西野精治先生は米スタンフォード大学で睡眠・生体リズム研究所の所長を務めており、長年、良質な睡眠の取り方について提言してきた。今回、株式会社ブレインスリープの代表取締役兼最高医療責任者として来日している西野氏に、スポーツと睡眠の関係について話を聞いた。(聞き手:田中大貴)

――そもそも、スタンフォード大学がスポーツと睡眠の関係に着目したのはなぜでしょうか。

 私の師でもあり、「スタンフォード大学睡眠研究所」を立ち上げたウィリアム・C・デメント教授という睡眠研究の第一人者が、スポーツが非常に好きな方で、大学のバスケットボールチームやフットボールチームの支援をされていました。大学生アスリートは練習だけでなく勉強もしなければいけないし、遊んだり、デートしたりと忙しい。寝不足の選手も多いんじゃないかと、着目したのがきっかけでした。

――適切な睡眠を取ると、運動能力は上がるのでしょうか。

 デメント教授の有名な実験で、男子バスケットボール選手10人を40日間、毎日10時間ベッドに入れて、それがコートでのパフォーマンスにどう影響するか調査したものがあります。コート反復80m走のタイムとフリースロー、3ポイントシュートの成功率を毎日記録したところ、40日後には平均で80m走のタイムは0.7秒縮まり、フリースローは0.9本、3ポイントシュートは1.4本も多く入るようになったんです。

 もちろん、選手はこの間、毎日の練習でパフォーマンスが上達した可能性もありますが、スタンフォード大学の選手はセミプロレベルの一流が集まっていますから、特に練習内容を変えていないのに全員が突然レベルアップするというのは考えにくい。さらに、タブレット端末を使って図形が出るたびにボタンを押してもらうというリアクションタイムの評価でも、反応性が良くなったのです。

――実験後、選手たちはどうなったのですか。

 一部の選手で実験後のデータもとれているのですが、10時間睡眠をやめたところ、それらの選手たちの記録は実験開始前の水準に戻ってしまいました。これは睡眠によって選手の集中力、思考力が高まっていたと言えそうです。実際に実験中の選手からは、「すごく調子がいい」「ゲーム運びがよくなった」という声も出ていましたから。

【次ページ】 理解したい時差ぼけの仕組み。

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西野精治

バスケットボールの前後のコラム

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