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なぜコービー・ブライアントは特別か?
「最も身近なスーパースター」の死。

posted2020/04/12 19:00

 
なぜコービー・ブライアントは特別か?「最も身近なスーパースター」の死。<Number Web> photograph by Getty Images

ロサンゼルスの街に画かれたコービー・ブライアントの壁画。その姿には聖人のごとく後光が――。

text by

長澤壮太郎

長澤壮太郎Sotaro Nagasawa

PROFILE

photograph by

Getty Images

 僕は今まで幾度となくNBAについてのコラムを書いてきました。自分の大好きなNBAについてコラムを書かせて頂くことはとても幸福なことでしたし、毎回、次は何を書こうかな、とワクワクしながら取り組んで来ました。しかし……スポーツを伝える仕事の中で、この事件ほど辛く、全く脳も精神も機能しなくなったことはありません。

 2020年1月26日、カリフォルニア州カラバサスで起こったヘリコプターの墜落事故で9名が命を落としました。元レイカーズでNBAの大スターのコービー・ブライアントも犠牲者の1人でした。

 この日が、僕にとっては、NBAの歴史上一番悲しい日となってしまいました。

 このニュースを知った時は、なにかの間違いであって欲しい。信じられない。嘘だろう? 彼だけは違う! と正直思いましたし、多くの方がそうだったと思います。

あの事故から2カ月ほどが経った今……。

 コービーといえば、20シーズンに渡ってレイカーズ一筋で活躍し、5度のNBA王者、2度の得点王、2度のオリンピック金メダル、リーグMVP、オールスター選出18回とNBAの歴史に残るスーパースターです。

 日本の神戸牛からつけた彼の名“KOBE”は、バスケットボールやNBAファンに限らず、世界中の人に認識され、愛されてきました。

 あの事故から2カ月ほどが経った今、頭では理解できているつもりですが、やっぱり気持ちの整理が出来ていないままこのコラムを書いています。

 コービーは2016年に引退してからまだ、4年しか経っていません。41歳という非常に若い年齢でした。事故が起こる前日の1月25日も、レブロン・ジェームズがキャリア通算得点記録でコービーを抜いて歴代3位に上がり、コービーはSNSでレブロンを祝福したばかりでした。

 引退して4年経っても、テレビでのゲスト出演や試合会場に現れた時の体型は現役当時とほぼ変わらず、今すぐに復帰したとしてもまだまだ通用しそうなオーラに溢れていた彼が、なぜ今死を迎えなければならなかったのか、残念で仕方ありません。

【次ページ】 “新時代の”スーパースターになった第一章。

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