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二度の世界大戦以来の中止危機。
セリエA次第でEURO延期も現実味。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2020/03/17 19:00

二度の世界大戦以来の中止危機。セリエA次第でEURO延期も現実味。<Number Web> photograph by Getty Images

ヨーロッパにおける新型コロナウイルス感染拡大の中核となっているイタリア。この状況ではカルチョを楽しむことはできない。

順位凍結案はラツィオが反対。

 選手やスポンサー、取引先との契約でも6月末を暦上の区切りとするサッカー界では、大混乱を回避するため業務を7月にまたぐのは何としても避けたい。

 そのためなら代表に選手は出せない、UEFAへ大会を延期せよと訴えるぐらい、何ということはないのだ(この際、準決勝2試合と決勝を残すコッパ・イタリアの日程再編成は後回しだ)。

 4番目の「順位凍結案」には、20年ぶりのスクデットを狙う2位ラツィオのロティート会長が黙っていなかった。また、今季のセリエBで首位独走、A昇格へ秒読み段階だったベネベントも、仮に昇格がフイになれば法廷闘争も辞さないのは明らかだ。

 FIGCのグラビーナ会長が提唱した3番目の「プレーオフ/プレーアウト」案は、下位のクラブからの猛反対に遭った。

 最下位のブレシア(勝ち点16)や19位のスパル(勝ち点18)にとってプレーアウトは残留へ起死回生のチャンスとなるかもしれないが、参加4チーム中3つが降格するという高確率では、17位(勝ち点25)で並ぶレッチェとジェノアにとってリスクが大きすぎる。

 16位サンプドリア(勝ち点26)や15位トリノ(勝ち点27)とほとんど差がないのにプレーアウトを戦うのは、あまりに非情だ。

リーグ機構は放映権収入にご執心。

 現状の首位ユベントス、2位ラツィオ、3位インテル、そして4位アタランタによる一発勝負のスクデット決定トーナメントは想像しただけでも興味をそそられるが、現場の声は、全38試合をきちんと戦った上で優劣を決めたい、というものが強いようだ。

 国には国民である選手やクラブ職員たちと家族の健康を守るという絶対の義務があるし、選手会もそれを強く後押ししている。

 セリエAリーグ機構は中断による放映権収入ダウンをいかに抑えるかにばかりご執心で、FIGCには下位カテゴリーであるセリエBやCにアマリーグ、女子サッカーや代表チームといった各セクションに対応すべき問題が山のようにある。

 現在、サッカー界の主役は選手ではなく背広組が担っている。彼らはみな、それぞれの立場からサッカーの明日に向けて戦っている。

 FIGCは今月23日に再度会合を開く。セリエA再開についての指針は、そこで定められる予定だ。

【次ページ】 世界大戦でしか中止していない。

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