セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
二度の世界大戦以来の中止危機。
セリエA次第でEURO延期も現実味。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2020/03/17 19:00
ヨーロッパにおける新型コロナウイルス感染拡大の中核となっているイタリア。この状況ではカルチョを楽しむことはできない。
4月3日の即再開案は意味を成さず。
3月13日、FIGC(イタリアサッカー連盟)のグラビーナ会長はセリエAだけでなく下位カテゴリー含む各リーグ機構とクラブ代表、AIC(イタリア選手会)といった関係者たちと緊急ビデオ会議を開いた。このとき検討されたのは、以下の4案だ。
1)政府措置期限(4月3日)終了後即再開
2)政府措置期限終了後に猶予期間を置き、5月2日から再開。6月末までの2カ月間で残り12節を集中消化
3)現時点の順位を基に上位4クラブによる優勝決定プレーオフ、下位4クラブによる残留決定プレーアウト
4)現時点で順位を凍結。優勝タイトル及び昇降格はなし
1番目の「即再開案」は、ルガーニに陽性反応が出る前に考えられていた最も楽観的なものだ。
イタリアでは政府のお達しにより、4月3日までのあらゆるスポーツイベントが休止されているが、ユベントスをはじめとする5クラブは少なくとも今月25日まで一切の全体練習ができない。いったん活動を止めた各チームにたった1週間で実戦のコンディションを整えろと求めるのは非現実的な話で、この案は意味を成さなくなった。
国内スポーツ界のトップを司る、CONI(イタリアオリンピック委員会)のジョバンニ・マラゴー会長が「すべては今後数週間の状況次第」と懸念するとおり、4月最初の週末にリーグ戦を再開できる保証などどこにもない。
EURO延期なら「5・6月集中開催」。
全クラブの支持を集め、最も有力視されているのが2番目の「5・6月集中開催案」だ。これは“EURO2020の延期”を前提条件としている。
UEFAは、3月17日に予定されている臨時トップ会議で、やはり中断中のCL/ELの処遇とともに、初夏に迫るEURO2020の開催時期見直しを協議する予定だ。
各国のリーグ戦を維持することの危機という未曾有の事態に対して、UEFAは経済損失を天秤にかけながらEUROを2021年初夏へ先送りするだろう、という見通しをイタリア側は立てている。