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実は凄いアタランタCL8強の快挙。
お祝いは“あの敵”を倒したあとで。
text by
神尾光臣Mitsuomi Kamio
photograph byGetty Images
posted2020/03/18 07:00
無観客のメスタージャはやりづらい雰囲気だっただろう。しかし4得点を挙げたイリチッチをはじめアタランタはCL8強に値する戦いぶりだった。
27台ものバスでサン・シーロへ。
バレンシアとの2連戦は、その力を存分に示したものだった。
2月19日に行なわれた第1レグが、すでにベストに近い内容だった。アタランタの本拠地ベルガモのスタジアムはUEFA主催試合の開催規格を満たしていなかったため(現在は2021年の完成を目指して改装中)、サン・シーロを借りて開催された。
その試合に集まった観衆は4万人超。インテルやミランの試合なら7万人を越すこともあるが、ベルガモの人口12万人の3分の1を越す人々が来場したと考えれば、その凄さが分かる。サポーターズクラブがチャーターしたバスは、なんと27台にも上ったという。
長いことセリエA残留を確保できれば御の字だったおらが街のクラブが、創立以来初のCL参戦を果たしただけではなく、決勝トーナメントまで駒を進めてしまう。
ファンの想像を超える舞台に到達したチームへの期待は大きいが、アタランタは押し潰されることなく、ボーナスステージという意識で気を抜くこともなく、自分たちのサッカーをやり抜いた。バレンシア相手に62分までに4ゴールを奪ったのである。
連動を極めた3-5-2で相手を制圧。
ガスペリーニ監督が選択したのは、3-5-2のシステム。ただしセンターフォワードとなる選手は置かず、削った枚数は中盤に充てて守備と攻撃の切り替えの強度アップを図った。3連敗から決勝トーナメント進出を勝ち取ったグループリーグのなかで固めた戦い方だ。
組織守備は、マンマークをベースとした独特の守備を徹底。ボールを保持する選手だけでなく、パスを受けようとする選手にも1人1人マークをつけて、相手チームのパスコースを細かく分断していく戦術だ。
そうして選択肢を狭めたのち、ボールを持つ選手に人を集めて奪う。数的優位の状態が局地的にできているので、ボール奪取の瞬間ワンタッチでパスを交換し、サイドへと展開。3人あるいは4人で三角形ないしは四角形を作っての連動ができ、その間で素早いパス交換が行なわれるという算段だ。
この動きの連動に、バレンシアはついていけなかった。
並び上は2トップのゴメスとイリチッチは中央に張らずサイドに、また中盤に下がってサイドの組み立てにも加わる。横に拡げられたDFラインの中央に、中盤の選手が次々と飛び込んでくる。そして、身体に染み付いた連係のもとで動く選手たちは、自信を持って個人技を仕掛けてくるのである。