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実は凄いアタランタCL8強の快挙。
お祝いは“あの敵”を倒したあとで。 

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神尾光臣

神尾光臣Mitsuomi Kamio

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posted2020/03/18 07:00

実は凄いアタランタCL8強の快挙。お祝いは“あの敵”を倒したあとで。<Number Web> photograph by Getty Images

無観客のメスタージャはやりづらい雰囲気だっただろう。しかし4得点を挙げたイリチッチをはじめアタランタはCL8強に値する戦いぶりだった。

ユーべ会長がまさかのコメントも。

 試合の数日前、ある人物がアタランタの8強進出に、疑問を呈した人物が現われた。

「アタランタのやっていることに尊敬の念を持つが、パフォーマンスが良いことを理由に国際的な伝統のないクラブが欧州の舞台に上がるのは正しいのか?」

 ユベントスのアンドレア・アニェッリ会長である。

 ただし彼らは、突発的に良い成績を挙げたわけではない。最近は育成だけでなく収入も多く伸ばしており、ガスペリーニ監督のもとで伸びたチームには下部組織上がりの人材が常に使われている。

 そうした文化のもとで発展してきたクラブが、マンチェスター・シティ相手に堂々と戦い、シャフタールやディナモ・ザグレブなどのCL常連チームを破り、ベスト8入りを果たしたのだ。

 セリエAでも気がつけば4位。上手く進まないスタジアムの専有とリニューアルという不安はあるにせよ、彼らに高みを見据える資格がないとは思えない。バレンシアとの2連戦は、そう強く思わせるほど素晴らしい試合だった。

1200名のサポーターが集えなかった。

 今回の2連戦で残念だったのは、メスタージャに集う予定だった1200名のアタランタのサポーターがそこにいられなかったことだ。要因は知っての通り新型コロナウイルスの感染拡大で、ベルガモの病院は過酷な感染者治療にあたる最前線の1つとなっている。

 遠征を予定していた1200人は、返金されたチケット代をすべて病院への寄付に充てた。その院長からは、試合後にチームに対して祝福のメッセージが届いたという。

 国内では広場などに人が集まることが首相令により禁止されているため、ベルガモの街の人は外で勝利を祝えなかった。

「大変な思いをしている地域のみなさんに喜びを与えられたことを、我々はとても嬉しく思っている」と試合後に喜んだガスペリーニ監督は、こうも呼び掛けている。

「リーグ戦の終わりかチャンピオンズリーグの終わりか、我々にはまだ一緒にお祝いする機会が残されている。お祝いは“この敵”を倒してからにしましょう」

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#ヨシップ・イリチッチ
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