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36歳・国枝慎吾が復活できた理由。
昨季、大舞台で優勝ゼロなのに?

posted2020/02/29 18:00

 
36歳・国枝慎吾が復活できた理由。昨季、大舞台で優勝ゼロなのに?<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

全豪オープン車いすテニス男子シングルスで優勝を果たした国枝慎吾。いまだにその実力は世界屈指だ。

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秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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Hiromasa Mano

 2019年、国枝慎吾に異変が起きた。車いすテニスツアーで優勝9回、自己最多となるシーズン53勝(8敗)を挙げたが、にもかかわらず、グランドスラム(四大大会)での優勝が一度もなかったのだ。ウィンブルドンが準優勝、全豪と全仏は4強、全米は1回戦敗退と、決勝の舞台にも一度しか立てなかった(いずれもシングルス、以下同)。

 四大大会で通算22回の優勝、パラリンピックでも'08年北京、'12年ロンドンを連覇するなど大舞台に強いはずの国枝が、なぜ勝てなかったのか?

 複数の要因がある。ひとつは周囲のレベルアップだ。次に、取り組んできたバックハンドの改良が未完成だったこと。さらに、国枝自身にグランドスラムへの意識過剰があった。それらを順に見ていく。

10数年前とは「レベルが違う」。

 2月24日付けのランキングでは、1位の国枝が2位のグスタボ・フェルナンデス(アルゼンチン)以下を大きく引き離している。とはいえ、男子の車いすテニスは今、誰が勝ってもおかしくない状況にある。

 '16年のリオ・パラリンピックでゴードン・リード(英国/5位)が金メダルを獲得。その後、フェルナンデスが台頭し、'19年には全豪、全仏、ウィンブルドンで優勝、ランキング1位でシーズンを終えた。

 国枝も、初めてグランドスラムを制した'07年頃とは「まったくレベルが違う」と、ツアー全体のレベルアップを実感している。彼の力が落ちたのではなく、26歳のフェルナンデスや28歳のリード、さらに最新のランキングで3位の22歳、アルフィー・ヒューエット(英国)など若い選手が力をつけたのだ。

 '14年には、まだシングルスを開催していなかったウィンブルドンを除く全豪、全仏、全米のタイトルを独占した国枝も、この群雄割拠の時代に勝ち続ける難しさを痛感しているだろう。

【次ページ】 全米1回戦敗退当時の状態は……。

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