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36歳・国枝慎吾が復活できた理由。
昨季、大舞台で優勝ゼロなのに?
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph byHiromasa Mano
posted2020/02/29 18:00
全豪オープン車いすテニス男子シングルスで優勝を果たした国枝慎吾。いまだにその実力は世界屈指だ。
「37歳、40歳でも今がベストだと」
しかし百戦錬磨の王者は、ライバルたちの手強さも知っている。
「僕自身、冬の間(オフシーズン)にレベルアップしたが、ほかの人たちも上がってきているなと思う。結構、差をつけたかなと思いきや、しっかりついてきているなという感じだ。もちろん抜けたいし、ちょっと抜けたかなとは思ったが、まだライバルたちがついてくるので気を抜けない。パラリンピックまでの間にもう1段階、2段階、レベルアップしないと」
ライバルたちの潜在能力は高く、短期間に勢力図が塗り替えられることもあると覚悟している。だからこそ、現状に満足せず、鍛錬を続けるのだ。
全豪の優勝会見で、国枝はこう語っている。
「年々、自分のテニスがよくなっているのを確信している。37歳になっても40歳になっても今がベストだと言えるように、努力を欠かさずにやっていきたい」
こんな言葉から読み取れるのは彼の自信とプライド、そして自己抑制の厳しさ、すなわち、彼が持つチャンピオンのマインドである。