リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
再建請負人アギーレとアベラルド。
降格圏脱出には戦術より気配り。
posted2020/02/22 11:30
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Getty Images
チームとクラブを下部リーグへの降格から救うことに長けた監督がいる。
元日本代表監督のハビエル・アギーレは、その1人と言えるだろう。
リーガでは2002年から'06年までのオサスナと、'06年から'09年までのアトレティコでの采配が印象的な彼だけれど、2010-11シーズンのサラゴサや2012-13シーズンのエスパニョールでは最下位まで堕ちていたチームを立て直し、それぞれ13位にまで押し上げている。
アギーレは2015年2月に日本代表監督をクビになった後、UAEのアルハフダとエジプト代表を率い、昨年11月初頭にスペインに戻ってきた。
開幕からの12試合で5ポイントしか獲れず(1勝2分9敗)、死に体となりかけていた最下位レガネスを蘇生させるためだった。
アギーレがレガネスに信じさせたこと。
あれから3カ月半。チームのプレースタイルに大きな変化はなく、順位もいまのところ1つ上げただけだが、レガネスは明らかに以前と異なる流れ――行く先は1部残留――に乗っている。
『マルカ』紙の番記者によると、アギーレは選手に自信を取り戻させたという。そして、絶望していたサポーターは再び期待を抱くようになった。その相乗効果によりレガネスは第13節以降の12試合で14ポイント(3勝5分4敗)も獲得することができたという。
レガネスでの初日、選手全員に「降格圏から脱出可能」と信じ込ませることから始めたアギーレは、選手の心理状態がチーム浮上のカギを握ると考えている。
「降格を免れるためにはあらゆる努力が必要だが、肝心なのは心理面への注意だ。選手も人間だということを忘れてはならない。練習に来たものの病気の奥さんが心配でならない者がいるかもしれない。試合に出してもらえずに腹を立てている者がいるかもしれない。膝のケガがなかなか完治せず苛立っている者がいるかもしれない」