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<幸せの熱狂空間>
リバプールとあの歌の物語。
posted2020/02/23 11:30
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
Ryu Voelkel
この3年弱ホーム無敗のリバプールが、今季のプレミアリーグを独走している。穴のない選手層に稀代の名将や強化体制……、強さの理由はいくつもあるが、常にチームを奮い立たせてきたサポーターの歌の力も大きいはずだ。(Number997号掲載)
Liverpool No Music No Football
Walk on walk on with hope in your heart
And you’ ll never walk alone
You’ll never walk alone
『You'll Never Walk Alone』(作詞:Oscar HammersteinII 作曲:Richard Rodgers)
「あの声を聞けよ。ファンは諦めちゃいない。俺たちもギブアップなんかできるか!」
2005年CL決勝のハーフタイム中、リバプールのキャプテンだったスティーブン・ジェラードは、チームメイトたちの前で檄を飛ばした。スコアは0-3。対するミランの選手たちは、既に勝ち誇ったような態度。リーダーの心も、サポーターとして育ったクラブの生え抜きとして人一倍の打撃を受けていたが、トルコのアタテュルク・オリンピヤット・スタディに集結していた、約4万人の同志による熱唱に励まされた。
ジェラードは、「イスタンブールの奇跡」後、自ら『デイリー・テレグラフ』紙に寄せた記事の中で述べている。
「スタンドの歌声が、トンネルを伝ってロッカールームまで聞こえてきた。俺たちのハートに届いた。『ユール・ネバー・ウォーク・アローン』を歌うファンが、風が吹いていても、雨が降っていても、こんな苦境に立たされても、俺たちは一人じゃないと教えてくれた」