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Vリーグで嫌がられる男の観察力。
白澤健児が見せるバレーの面白さ。 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byV.LEAGUE

posted2020/02/14 11:00

Vリーグで嫌がられる男の観察力。白澤健児が見せるバレーの面白さ。<Number Web> photograph by V.LEAGUE

パナソニックパンサーズの白澤健児。エース清水邦広からの信頼も厚い。

西田のスパイクをブロック。

 ジェイテクトとの首位攻防戦もまさにそうだった。

 1レグはパナソニックがストレート勝ちを収めたが、2レグはジェイテクトがストレートで快勝。最大の武器であるサーブが効果を発したことに加え、バランス良く攻撃されたことも敗因ではあるが、何より、西田を止めることができなかった。

 反省を糧にレギュラーラウンド最後の対戦となった8日の3レグは、敗れた試合で何が悪かったかを徹底して見直した。その結果が最も顕著に現れたのが第2セットだ。

 15-15と同点で迎えた終盤、セッターがサーブを打った後のS1ローテ、本来のライト側ではなくレフト側から打つ西田のスパイクはサイドラインを割り、パナソニックが1点をリード。テクニカルタイムアウトを挟み、再びレフトから放った西田のスパイクを今度は白澤がブロックし17-15。

 多くのチームが不得手とするS1ローテではあるが、レフト側から攻撃を仕掛ける西田の前でブロックするのはセッターの深津で、相手セッターのセオリーからすれば決して誤った選択ではない。だが、そんな状況こそ、データだけでなく経験から培った熟練の「読み」も活きる。両者の間を行き来していた流れが、白澤のブロックで一気にパナソニックへ傾き、試合は3-0でパナソニックがストレート勝ちを収めた。

観察して、共有して、駆け引きを繰り返す。

 試合後、「流れを変えるのがオポジットの役目なのに、それができない自分の未熟さが出た」と悔しさを露わにした西田に対し、白澤は「あまり調子がよさそうではなかったので、前回決められたボールも止められた」と冷静に振り返る。

 だが、もちろんそれだけではない。敗れた試合を何度も見返し、綿密に立てた戦略と試合の中で求められる瞬時の判断力。それこそが、35歳の今もなお「この人がいるから強い」と言われる理由でもある。白澤はこう言う。

「若い頃は上がったボールに全部ついて行こうとしていたけれど、全部が全部止められるわけではありません。この状況は100%レフトだ、と思って実際レフトに上がっても相手が上回って、止められないこともあります。個人対個人では僕なんか、絶対かなわないですから。その時々、相手のコートで何が起きているかを観察して、それを味方に共有して、ちっちゃい駆け引きを繰り返す。そういうのがバレーボールの面白さだと思うんです」

【次ページ】 「バレーが好きなんでしょうね」

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