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山口俊、メジャーへ意気込みを語る。
先発ローテ入りへ「力まず、焦らず」 

text by

田中大貴

田中大貴Daiki Tanaka

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photograph byYuki Suenaga

posted2020/02/04 11:50

山口俊、メジャーへ意気込みを語る。先発ローテ入りへ「力まず、焦らず」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

2006年に高校生ドラフト1巡目で横浜入団。抑えとして活躍した後に先発転向、 '17年からは巨人で投げた。

入団時、英単語帳を持参していた。

――メジャーリーグに行きたいと、具体的に意識したのはいつだったんですか。

 野茂英雄さんが投げているのをテレビで見ていて、すごい選手はアメリカに行くんだなと思ったのが最初の記憶です。そのあとイチローさんの活躍を見て、こういう舞台でプレーできるような選手になりたいな、と。

 実は2006年に横浜ベイスターズに入るとき、英単語帳を持って入寮したんです。同期の黒羽根(利規/現・北海道日本ハムファイターズ)に「何これ」って聞かれて、「英語だよ。俺はいつかメジャーに行くんだ」って宣言していたのが懐かしいですね(笑)。そのあと、2010年に初めて30セーブに到達して、行けるかもしれないとイメージするようになりました。

――思えば2016年オフに国内FA権を行使して、ベイスターズからジャイアンツに移籍しました。あのとき、海外FA権取得まで1年待つという選択肢はなかったんですか。

 あのときはまだ、翌年メジャーに行けるとは明確にイメージできなかったんです。まずは先発投手として国内でしっかり投げられるようになりたい、という段階でした。

――ジャイアンツでの3年間で得たものは何ですか。

 FAで巨人に入って、菅野(智之)というエースをいかにサポートできるか、と考えながらやっていました。ライバルも多く安心できない立場で、常に優勝を求められるプレッシャーの中で投げたことは、良い経験になりました。

――ベイスターズで得たものとは違いましたか。

 僕がいた頃のベイスターズは、まだまだ優勝争いできるチームではなかったので、シーズン終盤に気持ちを維持させることが難しかったです。でも、中畑(清)さんが監督になって「最後まで野球を諦めるな。負けていてもファンの方は応援してくれるんだから」とおっしゃっていて、忘れていたことに気づかせていただきました。その感覚は、今でも大事にしています。またブルーのチームに行くので、不思議な縁があるなと思います。

――そのベイスターズで同僚だった筒香嘉智選手は同じア・リーグ東地区のタンパベイ・レイズに入団します。

 一緒に長い間プレーして、お互いの特徴を知っている選手です。今回たまたま同じタイミングの移籍で、同じ地区で、同じルーキーという立場なので、互いに刺激し合ってしっかり頑張れれば。

田中将大のピッチングを参考に。

――日本人メジャーリーガーでいうと、成功のモデルケースになりそうな投手はいますか。

 最近のスタイルを見ていると、田中(将大)投手じゃないでしょうか。落ちるボールもあって。彼の動画を見ていると、参考にすべきところがたくさんあるなと思います。

――山口投手のように力のある真っすぐとフォークが武器というのは、これまで日本人投手が成功してきたタイプにも見えます。

 ただ、「プレミア12」で外国のチームと対戦したときに、それだけでは通用しないとも思いました。日本では空振りを取れていたボールでもバットが止まったり、外角にバットが届いてヒットにされたり。実戦が始まったらベース上のストライクゾーンだけではなく、各バッターが持っているストライクゾーンや得意なコースの確認が必要だと感じました。

――技術的には何か変えるつもりですか。

 昨季まで意図的に腕を下げて、ボールを動かすことを心掛けていたんですけど、メジャーでは4シームがより大事になると思うんです。きれいな回転の真っすぐが、高めで空振りを取るために効くと思うので。今は20代前半の頃のような、上からボールを叩くイメージで投げています。メジャーに行くと僕は球が速いタイプではなくなるので、日本人特有のボールの回転を大切にしようと今は考えています。

【次ページ】 先発で勝てる投手、サイ・ヤング賞。

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