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エリート5姉妹の末っ子・菊池純礼。
スケート二刀流、ダブル優勝の快挙。
posted2020/01/18 11:30
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Matsuo/AFLO SPORT
日本のスケート界に「二刀流」が誕生した。
昨年12月26日から29日まで長野・エムウェーブで行なわれたスピードスケート全日本選手権のオールラウンド部門女子で、平昌五輪ショートトラック代表の菊池純礼(富士急)が初出場初優勝を果たした。
500mから5000mまでの4種目の合計で競う試合。菊池は26日の500mと3000mで1位になると、27日の1500mで1位、5000mでは3位。4種目のうち3種目でトップとなり、優勝した。
菊池は昨年、ショートトラック全日本選手権の女子総合で2連覇を果たしている。
スピードスケートとショートトラックで全日本選手権を制した選手は男女通じて3人目で、ショートトラックが五輪種目となった1992年以降は初の快挙だ。しかも、ショートトラックの全日本選手権が行なわれたのはわずか数日前の12月22、23日。
「総合優勝できるとは思っていませんでした。すごくびっくりしています」と声を弾ませ、1930年に始まった伝統ある大会を制したことを喜んだ。
ジュニア時代にも「二刀流」。
長野県南佐久郡で五人姉妹の末っ子として生まれた。
姉妹には五輪選手がズラリ。次女の彩花はスピードスケートの代表としてソチ五輪と平昌五輪に出場し、平昌では女子チームパシュートの一員として金メダルを獲得した。三女の悠希、四女の萌水もショートトラックで五輪代表入りしている。
今回の全日本ダブル制覇により、「二刀流」として注目を浴びている菊池だが、ジュニア時代から両競技でハイレベルなポテンシャルを示していた。
長野・小海高校1年生のときにあった'12年インスブルック冬季ユース五輪に、両競技の日本代表として出場しているのだ。
結果は、スピードスケート女子1500m銅メダル、同マススタート銅メダル、ショートトラック女子1000m銅メダル、同500m5位など堂々たる成績。その後、高校3年生まではスピードスケート全日本距離別選手権にも出ていたが、高校を卒業して社会人のトヨタ自動車に入ったのをきっかけに、ショートトラックに専念して五輪を目指した。そして、平昌五輪で夢を叶えた。