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司令塔のキャプテン篠山竜青が負傷。
天皇杯制覇へ川崎が問われる真価。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byB.LEAGUE
posted2020/01/08 19:00
6季連続で主将を務める篠山はまさにチームの支柱。12月31日、左肘関節脱臼で全治3カ月程度であることが発表された。
怪我の瞬間に「マインドセットした」。
篠山の不在については、本来はシューティングガードである辻直人をこのポジションで起用する時間を設けることで、解決を図ろうとしている。
ただ、その前提となるのは、他のチームでならばどこでもスタメンを張れると言われる藤井に加え、プロ3シーズン目を迎える青木保憲という本職のPGたちの奮闘である。
青木は、あの日、宣言した。
「竜青さんがああやって怪我をされた瞬間からマインドセットしたつもりです。
僕がステップアップできれば、竜青さんが帰ってきたときに、チームは必ずレベルアップするはず。目標である天皇杯があるわけで、ここでの僕の頑張りというのは、絶対に、必要不可欠なものだと思っています」
2年前、絶対的エースを欠いた千葉が天皇杯制覇。
中心選手がいなければ、天皇杯を勝てないというのは言い訳に過ぎない。
2年前の天皇杯を思い出してみればよい。優勝したのは、絶対的エースである富樫勇樹を直前の怪我で欠いて、周囲から懐疑的な目を向けられていたジェッツだった――。
昨年12月27日、川崎は一般企業のインターンシップに相当する、特別指定選手としての契約を増田啓介と締結した。増田と契約をかわす際、佐藤はこう伝えたという。
「年齢は関係ない。いつ、このチームに入団したかも関係ない。1人ひとりがリーダーシップを持たなければいけないぞ」
最年少の若者に佐藤がそう伝えたのは、それが全ての選手に求めてきたことだからだ。
篠山は司令塔であるだけではなく、チームを率いるキャプテンである。簡単にはその穴を埋めることは出来ない。
ただ、そんな存在を欠いて臨む大会だからこそ、ガムシャラに戦うだけではなく、頂点への道を想像しながら取り組んできたことの真価が問われるのである。