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司令塔のキャプテン篠山竜青が負傷。
天皇杯制覇へ川崎が問われる真価。
posted2020/01/08 19:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
B.LEAGUE
「目の前の試合だけに集中して、戦っていきます」
アスリートの口からは、しばしばそんな言葉が聞こえてくる。決して間違ったことは言っていない。
ガムシャラにやるだけ。そんな状況は、アスリートにとって心地よいのかもしれない。
ただ、その心地よさが、彼らから考える力を奪ってしまうことがある。深く考えず、プランも立てず、ただ頑張るだけ。それでは、努力する方向が間違っていたり、突発的なアクシデントが起きたりしたときに、軌道修正するのは難しい。
一方で、指揮官によるこんなかけ声のもとで団結してきたチームがある。
「12月は、1月に行なわれる天皇杯を勝ち抜く力をつけるための1カ月にしよう!」
川崎ブレイブサンダースの佐藤賢次ヘッドコーチ(HC)が選手たちに求めたのは、リーグ戦(とその後のプレーオフに当たるチャンピオンシップ)の合間に行なわれるカップ戦でもタイトルを手にするために日々を過ごすことだった。
1試合の勝ち負けではなく、内容にこだわる。
昨年12月初頭に、キャプテンの篠山竜青もこう語っていた。
「賢次さんが、年間のプランみたいなのをしっかり立てていて、『今月はこれをやりたい』とか、『今週はこれをやろう』というのが、本当に明確になっています。
その過程で、1試合の勝ち負けではなくて、内容にこだわって、天皇杯で優勝するための段階を踏んでいく。そういう12月にしたいというのが、チームのビジョンです」
タイトルを手にしたいと願わぬチームなど、ないだろう。
ただ、多くのチームからは「天皇杯よりも、まずは目の前のリーグ戦に集中したい」という声が聞こえてきた。
そんななか、天皇杯の優勝を目標に掲げ、コツコツと準備をしてきたのが川崎だ。今季のB1リーグで最高勝率を誇る優勝候補として、日本バスケットボール界伝統のタイトルに挑む。
天皇杯のファイナルラウンドは1月9日に準々決勝が行なわれ、11日に準決勝、12日に決勝を控える。