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司令塔のキャプテン篠山竜青が負傷。
天皇杯制覇へ川崎が問われる真価。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byB.LEAGUE
posted2020/01/08 19:00
6季連続で主将を務める篠山はまさにチームの支柱。12月31日、左肘関節脱臼で全治3カ月程度であることが発表された。
戦闘モードを切らさぬために。
そんなキャプテンの行動に、他の者たちも呼応していた。
HCの佐藤は、一瞬だけ顔を手で覆ったあと、両手をたたき、選手たちを鼓舞していった。彼らの戦闘モードを切らさぬために。
チームマネージャーの高木歩幸も、ショックを受けたはずだが、そんな素振りを見せたのは自分の仕事をきちんとこなしてからだった。篠山のゴールが決まった時点でのスコアを入力してから両手で顔を覆った。
前日の試合では、残り時間、点差、相手と自分たちのファウルの数を、全員が確認して、上手くファウルを使いながら守ったことで、勝利につながった。そのような戦い方のためには、彼女の仕事は欠かせないものだ。だから、最初にしたのは、自らの持つタブレットに入力することだった。
1人ひとりが、自覚をもって。
そして、篠山のアクシデントにより、急きょコートに送り出された藤井祐眞はこう感じていたという。
「1人ひとりが、自覚をもっていたというか……やるべきことはわかっていました。試合中に戻ってくるのか、この試合はもうだめなのか、何もわからない状況だったので、選手として、まずは、勝つことだけを意識してやっていました」
だから、ショッキングなシーンのあった昨年12月の最後となったこの試合でも、しっかりと勝ちきることができたのだ。
天皇杯制覇に向けて、成長するための12月。
そう位置づけた1カ月の間に行なわれたリーグ戦10戦を全勝で終えたあと、佐藤HCはこう総括した。
「チームとしては本当にうまくいっていると思います。様々なディフェンスをしてくる相手がいますが、そのつど、僕らには攻撃の引き出しが増えてきました。
相手のオフェンスに対しても、戦術的にどう守るか、その引き出しがどんどん増えていっていると感じられる12月でした。
そのうえで試合にも勝ち切れているので、チームとしてはすごく良い流れです。本当に残念なのは、けが人が出てしまったということですが……」