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プロ野球広報視点の「危機」の解釈。
時代の変化を楽しんでほしいと願う。

posted2019/12/25 11:50

 
プロ野球広報視点の「危機」の解釈。時代の変化を楽しんでほしいと願う。<Number Web> photograph by Kyodo News

今季のセ・パ両リーグの観客動員数は、いずれも過去最多となった。野球の魅力を伝える球団、選手の取り組みにも目を向けてほしい。

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高山通史

高山通史Michifumi Takayama

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Kyodo News

 プロ野球の広報の重要な職責の1つとは、プロ野球の魅力、野球の素晴らしさをPRすることである。

 野球に関して昨今、異口同音に危機が叫ばれている。各種の調査報道、野球関連の書籍、コラムなどでよく目にすることがあるだろう。

「野球人口の減少=野球の危機」という構図である。

 野球人口の減少という事実は、数字で明らかである。少年野球、中学生の部活動、そして高校野球……。ほぼすべての世代、カテゴリーで軒並みチーム数も、選手数も年々、減り続けている。

 ここからはプロ野球界の片隅に身を置く、1人の職員としての思いとして読んでいただきたいと思う。そして前述の通り、野球人口の減少に関しては危機感を抱いていることが前提としての考えである。

 危機――。そのフレーズは、極めてネガティブな表現であると受け止めている。野球に関するそれらの報道、書籍などを拝読してもポジティブな要素は極めて少ない。各組織、団体を断罪しているような記述も、一部では見受けられる。

 一元的、シンプルすぎるロジックなのではないだろうか――。

 プロ野球界に籍を置く一職員の強がりではなく、そう疑問に思うのである。

少年少女の選択肢は広がった。

 数年前、あるいは数十年前と比較して、日本の生活様式は変化している。それはスポーツに関しても同じである。少年少女が取り組む競技の選択肢は、広がっている。サッカー、バスケットボール、ラグビーなどの団体競技に加えて陸上、ゴルフ、卓球、テニス、フィギュアスケートなどの個人競技もある。

 世界で活躍する組織や団体、アスリートが続々と登場している。メディアへの露出も多く、それらの躍動するシーン、姿が動機となり、取り組み始める少年少女も少なからずいるだろう。かつて男性(男子)で競技人口のトップだった野球を選ばずに、他競技へと流れる。単純に少子化という時代背景もあるが、野球人口の減少は他スポーツの台頭、浸透も理由の1つであると考える。

 ただ「野球人口の減少=野球の危機」と括る論評は、ある部分で「危機」であることには一定の納得はするが、少し視点が違うと感じている。

【次ページ】 過去最多を記録した観客動員数。

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