第96回箱根駅伝出場校紹介BACK NUMBER
連覇を狙う“一強”東海大学に死角なし。
青山学院大学の鍵は4年生の奮起にあり。
text by
箱根駅伝2020取材チームhakone ekiden 2020
photograph byNanae Suzuki
posted2019/12/27 11:00
青山学院大学
第95回箱根駅伝(前回大会):2位
12年連続、25回目
命運を握る4年生の走りやいかに。
最初で最後の箱根路で意地を見せられるか。
文=生島淳
原晋監督は、春から「チャレンジャー・マインド」を全開にしていた。
「前回のチーム、5連覇は達成できなかったわけですが、最強のチームであったことは間違いありません。復路の追い上げを見ても、ご理解いただけると思います。私としても、最強であっても敗れることがあるんだなと勝負の難しさを実感しました」
敗れて得られるものもある。チャレンジャー・マインドだ。
「強かった4年生が抜け、否応なしに変革せざるを得ませんでした。『同じレベルで強化していれば大丈夫だろう』という慢心が、私にあったことも認めます。だったら2019年、令和という新しい時代を迎えて、青山学院大学として、箱根駅伝に向けて新しい方針で臨もうと思ったんです」
監督が打ち出したのは、3月の段階から箱根駅伝を意識した長い距離の走り込みだ。春の段階から距離を踏み、5月の大型連休中は菅平高原でさらに地道なトレーニングを積んだ。チャレンジャーと言いつつも、中身はいたって地味。新潟県の三条高校から入学してきたばかりの岸本大紀は、「覚悟はしていましたが、大学生ってこんなに走るものなのかと驚きました」と語るほど。スピードで自分の限界を追い込む練習は減少し、長い距離をコツコツと走るメニューが増えた。
徐々に見えてきた「青学らしさ」。
しかし、なかなか結果が出ないことに、夏過ぎまで原監督はいら立ちを隠せなかった。
「7月の段階では、箱根駅伝の区間配置をどう組み立てるか見当もつきませんでした。誰も、俎上に上がってこない。これは今季は厳しいかと思っていたんですが、ようやく夏過ぎから様子が変わってきました」
初夏までのトラックシーズンではスピードが犠牲になっていたが、駅伝シーズンを迎えて徐々に「青学らしさ」が見えてきた。
出雲駅伝では、途中の4区で神林勇太(3年)がトップに立つ場面もあったが、5区、6区で競り負けて5位。レース前、原監督は「1位もあれば5位もある」と予測していたが、悪い方の予測が当たってしまった。
しかし距離が延び、選手が8人になった全日本大学駅伝では、最終区まで東海大学と先頭争いを繰り広げ、アンカーの飯田貴之(2年)が引き離されてしまったが、むしろ、このレースを通じて選手層の厚さ、上級生の存在感が際立ち、「敗れてなお、青学強し」を印象づけた。